2016年5月10日
去年の夏、子どもたちと庭で遊んでいると
去年の夏、子どもたちと庭で遊んでいると「ブブブブブ…」もの凄い羽音をたてながら大きなスズメバチが飛んでいった。あくる日もまたあくる日も。どうやら境内に通り道があるらしく、本堂や庫裡に入り込むこともあった▼刺されたら一大事、はやく退治しなくては。しかし巣はどこに? 裏通りにある古い空家かな?うっそうとしているご近所さんの庭…あそこかな? しかし見つからない。ハチに怯える日が続いた▼それからだいぶ経ったある日。普段なかなか開ける機会のない母屋の小窓を開けた時のこと。寺の裏側が見える窓からふと上へ目をやると、茶色の壁に同化して佇む大きな塊を発見した。不気味なマーブル模様の球体は間違いない、スズメバチの巣だ。あんなによそを探した蜂の巣が、まさか自分の家にあったとは▼面倒な現象が起きると、ついつい外に原因を探してしまいがちだ。しかし様々な問題の原因は案外すぐそばにあるのかも知れない。そう、自分自身の心の中に▼日蓮聖人は「地獄の世界も仏の世界も外にあるのではないのですよ。自分自身の心の中にあるのですよ」と、おっしゃっている。何かトラブルがあった時こそ自分を見つめなおす時。いつの間にか大きくなっていた蜂の巣のように、嫉妬や欲望は知らず知らずのうちに心を支配してしまう。心の窓を大きく開けて、お題目の風を常に吹かせていきたいものだ。(蛙)