2016年3月10日
校舎から元気な歌声が聞こえてきた♪ 卒業式の練習だ。
校舎から元気な歌声が聞こえてきた♪ 卒業式の練習だ。春の香りとともにやってきたお別れの季節…柔らかな日差しや、色とりどりの花々は、新しい旅立ちを応援してくれているかのようだ▼さて、お別れと言えば近年、人生の卒業式ともいえる葬儀の形が急激に変わってきた。なかでも、親しい身内で行う「家族葬」の増加は著しい。”アットホームで温かい”という意見もあるが、一抹の淋しさとともに疎外感を感じている人もいる。「お世話になったのに、亡くなったことを知らなくて」と、耳にすることも少なくない。「弔問に行ったら迷惑でしょうか?」こんな質問もよくうける▼故人の遺志や家の事情など様々であるため、一概には言えないが、「いつの間にか亡くなっていた」が当たり前になってしまうことは悲しい気がする。先日の葬儀で喪主さんが仰った。「お焼香の時に驚きました。父はあんな方、こんな方とも知り合いだったのかと。皆さまからお礼の言葉を頂きました。私の知らない父の姿を見た気がします」。葬儀の規模に拘わらず、死を周知し、お別れの場を作ることは重要なことだと思う▼人生最後の卒業式は一生に一度きりしかない。かつて花のアーチを作って先輩を送り出したように、故人の花道は縁のあった皆で用意して差し上げたい。元気に日蓮聖人のもとへ旅立てるように、感謝と激励の気持ちをお題目に込めて。(蛙)