2015年12月19日
山梨4 甲府市円明寺鐘撞堂落慶法要
【山梨4】甲府市下曽根町7の円明寺(小林康洋住職)で、12月19日午前9時から、檀信徒およそ60名が参列し、盛大に鐘撞堂落慶法要が行われた。
新たに鋳造された梵鐘は口径が3尺。お題目とともに天人、十二支、蓮台が施されている。また新築された鐘撞堂は欅の四柱に銅版葺で奈良時代の社寺建築に基づいている。
初めに円明寺本堂にて鐘撞堂落成がご宝前に報告され、小林住職から梵鐘の鋳造、鐘撞堂新築の経緯が述べられた。
円明寺には寛保2年に鋳造された梵鐘と鐘撞堂があり、地域に清浄な音を響かせていたが、太平洋戦争が激化した昭和18年3月、軍より供出命令が下り、「お国のために」と時の住職と檀信徒一同が出征祝いをして送り出したという。
以来72年間、梵鐘のない鐘撞堂は、その用をなさないまま朽ちかけていた。
梵鐘の鋳造と鐘撞堂新築は、小林住職が平成17年に晋山して以来の念願で、戦後70年の節目に向けて機運が熟し、本日の落慶を迎えた。
法要後、清水俊生総代が「小林住職就任以来の願いであった梵鐘の鋳造と鐘撞堂の新築を、檀信徒も協力しようということで、平成19年から5年計画で建設資金を勧募することにしました。本日、事業が完成し、これから2百年、3百年と、この鐘の音が円明寺や地域を守ってくれるでしょう」と謝辞を述べた。
続いて新築の鐘撞堂にて梵鐘の開眼・除幕が行われ、小林住職、齋藤宗務所長、檀家総代、参列者の順番に鐘が撞かれ、72年ぶりに清浄な音が地域に響き渡った。
浄業を円成させた小林住職は「先の戦争のように、梵鐘が殺戮をする銃弾になるような世の中になってはいけません。この梵鐘の音は戦難横死者供養の音であり、平和を願う音です。平和の尊さを胸に刻み、この音を響かせていきます」と語った。