日蓮宗新聞
2015年11月10日号
日蓮宗加行所始まる
来年2月10日までの寒壱百日間、わずかな食事と睡眠で読経・水行三昧の厳しい修行を続ける日蓮宗加行所(工藤堯幸伝師)が、11月1日に千葉県市川市大本山中山法華経寺(新井日湛貫首=加行所伝主)に開設された。今年度は138人が入行し、うち59人は修法の奥義を授かるため、初めて娑婆世界と修行場の結界内とを隔てる瑞門をくぐった。
入行会前、境内で期待と不安の面持ちで待つ初行僧の一人は「自坊の地元は過疎化が進むが、そのなかでも日蓮聖人の願い・立正安国を目指すため、修法を極めることで少しでも多くの人と結縁したい」と精悍な表情で決意を述べた。
法要では、入行僧が力を振り絞りながらの読経を祖師堂内に響かせると、檀信徒は無事の成満を祈るように合掌した。小林順光宗務総長は挨拶で、布教の一翼を担う修法に期待を示すとともに、日蓮宗として加行所のさらなる充実に尽力することを述べた。新井伝主は「一心に仏を見たてまつらんと欲すれば、自らの身命を惜しまず」という自我偈の一節を訓示とした。挨拶の最後に立った工藤伝師は「本日の晴れ渡る天気のように壱百日間、煌々たる光を心に抱き、苦しい修行を成し遂げてほしい。檀信徒の皆さまにおかれましても陰膳を据えていただき、成満を祈っていただければと思います」と語った。また祝辞では北原輝信千葉県北部宗務所長が「外で待つ多くの人たちと一緒に修行するのであって決して一人で行うのではありません」と初行僧を激励した。
中央檀信徒研修道場身延山で
平成27年度第2回日蓮宗中央檀信徒研修道場(田端義宏主任)が10月21日から23日まで、山梨県身延町の身延山信徒研修道場で開催された。この道場は宗門運動「立正安国・お題目結縁運動」推進のため、檀信徒の信行推進者を養成することを目的に年2回開設され、今回は29人の道場生が研鑽を積んだ。
道場生は3日間にわたり田端主任と山本光明講師の講義を受けた。講義では日蓮聖人の教えや日蓮宗徒の信条を学んだ後、宗門運動の意義や社会の中でそれをどう実践していくかについて学んだ。各講義の合間には、書写行、唱題行、法座、祖廟参拝、団体参拝(身延町鏡圓坊と上澤寺)、総本山朝勤が組み込まれ、充実した3日間となった。
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この道場は、管区や教区が主催する研修道場の修了者で宗務所長が認可した人しか参加できない。参加者29人のうち初参加は7人で、22人が2回以上の経験者。リピーターが多いのには理由がある。それは同信の仲間と励まし合いながら過ごすこの空間こそが、居心地のいい安穏な世界であるからだ。この安穏な空間を地域に、国に、世界に広げていこうというのが、「立正安国・お題目結縁運動」であり、その推進者を育てる場がこの道場でもある。
2015年11月1日号
第734遠忌お会式 池上本門寺で
第734遠忌お会式が日蓮聖人ご入滅の地・東京都大本山池上本門寺(菅野日彰貫首)で10月11から13日まで行われ、期間中数10万人の参拝者で賑わった。13日の朝に営まれた法要では、日蓮聖人がご入滅された当時の故事に倣い、臨滅度時の鐘が菅野貫首によって鳴らされると、参列者は頭を垂れ、ご遺徳を偲ぶとともに報恩感謝の誠を捧げた。
12日には午前10時から宗祖御更衣法要が行われ、東京都町田市東部から川崎市西部地域の人たちを中心に組織される武相講約40人が塔頭の中道院(宇澤淨進住職)から行列し、大堂(祖師堂)に安置される日蓮聖人像のお召衣を献上した。お衣が夏物から冬物へお召替えされるのを見届けた武相講の一人は安堵の表情を浮かべ「先祖から伝わる伝統行事を守ることが私の信仰の証。私のあとも子どもが引き継ぎ報恩感謝を捧げ続けてくれる」と語った。
お逮夜を彩る賑やかな万灯行列には全国から集った105の万灯講中が参加した。リズミカルなお囃子と打ち鳴らされるうちわ太鼓。そして豪快に振られる纏に先導された万灯が次から次へと本門寺を目指して池上の街を練り歩いた。今年はお逮夜が国民の休日にあたり、名物の万灯行列を間近に見ようと、境内は例年以上の人出で賑わった。