2015年11月1日
マイナンバー制度について
国内に住む赤ちゃんからお年寄りまで、すべての人に一人ひとりの番号を割り振るマイナンバー制度が始まる。
12桁の番号が記された通知カードが、11月までには市役所などから家族の分をまとめて家に送られてくるという。来年1月からは希望すれば、顔写真つきのマイナンバーカードを持つこともできると報道されている。
(1)「税金」を納めるときに、まずマイナンバーは使われる予定で、それは番号で住民登録などの情報を管理できることによって、国民一人ひとりの収入・所得を正しくつかむことがより可能になり、あなたの税金はコレコレですと、スムーズに通知することができるという。
(2)「社会保障」についても、今まで国や自治体がばらばらに管理してきた年金の個人情報も番号でつなげ、行政手続きを効率化し、より正確な情報をつかめるようにする。それによって国はより公正な社会保障を実現できるという。
(3)また万一「災害」にあった時も役立つ。巨大地震による津波による甚大な被害が東日本大震災で起こり、多くの死者と建物、田畑などの被害をもたらした。最近でも豪雨によって茨城、栃木、宮城3県を中心に甚大な被害を受けたが、マイナンバー制度の導入により、早急な災害対策、特に行方不明者や仮設住宅居住者の把握とすみやかな対処が可能になるといわれている。
以上、「新制度のねらい」についてまとめていえば、今まで「国や自治体がばらばらに管理してきた年金や税金などの個人情報を番号でつなげ、行政手続きを効率化し、より正確な情報をつかめるようにする。それによって国は公正な社会保障や税制度を実現できるとしている。つまり国民の生活へのサービスの、よりよい向上がのぞめるというのである。
(4)私たちにとって「便利」になることもある。番号を使って役所間で情報が共有されるので、公的な手続きで窓口に行く回数を減らせるといわれる。インターネットで自分の情報を見ることも可能になり、希望すればICチップ付きの個人番号(マイナンバー)カードを取得でき、将来はこのカードで公立図書館で本を借りたり、コンビニでも住民票を取得できるようしたいとし、カードに健康保険証やキャッシュカードなどの機能を持たせることも検討されているという。
(5)たしかに便利になると思われるが、問題なのは番号が漏れたりして悪用されたりしないか……という点だ。海外では同様の番号制度で「なりすまし」が問題となって被害が出たとも指摘されている。「サイバー攻撃」などもニュースになり、以前の大量の年金情報が流れてしまったこともあった。
企業もマイナンバーをきちんと管理するための研修を行い、政府も情報の漏洩や不正利用がないように監視・監督するための「個人情報保護委員会」を設置することになった。
(6)「マイナンバー制度」の導入は個人情報の管理、ひいては侵害につながる危険性をともなっているので進めるべきではないという声も少なくない。しかし、であるから導入せずではなく、時代の要請として、正しく慎重に検討しつつ導入が進められるのは必然であるといえる。
時代は明らかに変化してきている。日蓮聖人の「立正安国」とは便利な世の中を目指しているわけではない。便利な世の中の上にも人と人との心を通わせあい、助けあう世界だ。人の心に余裕が出る分、そういった世界に向けて、改めて積極的に日蓮宗徒が動いていかなければならない。 (論説委員・星光喩)