オピニオン
2015年11月1日
憤りの中から
先日、ある檀家さんの7回忌の法事を勤めた時のこと。法要が終わり、差し出されたお布施をいただくと、もう一つお布施の袋がある。不思議に思って、そのお婆さんに聞いてみると、
「いじめや誘拐などで、亡くなった子どもたちの供養をお願いしたいのですが、お願いできますでしょうか」とのこと。
こちらとしても、そういった申し出に少々驚くとともに、その尊いお心に添うよう、近づいたお施餓鬼で供養させていただくことでお引き受けした。
今、社会の中で、いじめや誘拐などによって、罪のない子どもたちのいのちが失われています。私たちは、そのような事件を聞くたびに、やり場のない憤りを感じます。このお婆さんはそんな憤りの中から、自分にできることとして、子どもたちの供養をと考えられたのでしょう。思いを行動に移していくこと。それも「いのちに合掌」。
(愛知県尾張布教師会長・三大寺聡温)