2015年10月1日号
中国・草堂寺「蔵経楼」落慶式
中国・西安の草堂寺で9月10日、日蓮宗鳩摩羅什三蔵法師遺跡顕彰会(吉田文堯会長)の援助などで進められてきた蔵経楼建設の完成を受け、落慶式が営まれた。草堂寺は、日蓮宗が信仰の拠り所とする『妙法蓮華経』が鳩摩羅什三蔵(以下=羅什)によって漢訳された聖地。約10年の歳月をかけて建立された蔵経楼は羅什の顕彰のほか、日中友好の願いが込められ、日本からの参拝者88人や楼を取り囲む約1千人が全世界の本仏の救済を祈った。
日蓮宗は昭和55年に派遣された第1次日蓮宗訪中団が草堂寺を参拝。文化大革命で破折され荒廃した草堂寺の復興と顕彰を志し、同顕彰会が組織された。過去、等身大羅什尊像の奉安や羅什紀念堂を建設し、草堂寺の復興を援助してきた。住職の諦性師はたびたび日蓮宗宗務院にも訪れ、友好関係を築いている。平成17年に計画された蔵経楼は間口約54㍍・奥行き約30㍍・高さ約23㍍の4層5階。経蔵としてだけではなく、講堂や世界中から仏教経典を収集する一大仏典センターとして使われる。また堂内には中国で初となる日蓮宗のご本尊の形態の一つ「一尊四士」のご尊像が祀られたことも特徴。
式当日、約1千人の参拝者が蔵経楼を取り囲むなか、約5万発の爆竹が祝典開始の合図として鳴らされた。中国側からは諦住職や西安市の仏教会長、行政関係者が謝意や歓迎の意を表した。続いて日中友好宗教者懇話会長の持田日勇師が羅什への敬愛と報恩の思いを伝え、「全世界にある羅什三蔵法師の翻訳経典の全てをこの蔵経楼に収集できることを」と願った後、「若い僧侶が先頭に立ち、さらに草堂寺と日蓮宗の絆を固くしてほしい」と結んだ。
中国人僧侶の法要後、日本人僧侶の一尊四士開眼法要が吉田会長を導師に営まれた。日蓮宗の力強い修法や自我偈、お題目が真新しい堂内に響き渡った。