2015年9月1日号
内野日総管長猊下導師で千鳥ヶ淵戦没者供養
70回目の終戦記念日を迎えた8月15日、日蓮宗は「千鳥ヶ淵戦没者追善供養並世界立正平和祈願法要」を、東京・千代田区の千鳥ヶ淵戦没者墓苑で営んだ。この法要は昭和34年に同墓苑が創建されてから毎年この日に日蓮宗が行っている法要で、今年が58回目となる。戦没者の遺骨が納められている六角堂内に大曼荼羅ご本尊を奉安し、池上幸保全国日蓮宗檀信徒協議会会長をはじめ法華一乗会の会員で公益財団法人・同墓苑奉仕会会長の堀内光雄氏、谷垣禎一氏、武見敬三氏、佐藤ゆかり氏らが参列。檀信徒約1000人とともに戦没者への慰霊と平和への祈りを捧げた。またご宝前脇をはじめ会場の各所には、全国の日蓮宗保育連盟加盟の幼稚園の園児らが折った平和を祈る千羽鶴が飾られた。
終戦70年の節目にあたる今年は導師を内野日総日蓮宗管長猊下が務めた。また副導師に東京4管区の宗務所長、式衆に東京4管区の声明師会、修法師会、行脚隊に青年会の各師が出仕し、六角堂の中央に安置された陶棺に向かい声明、読経、修法を行い、表白文で戦没者諸精霊に追悼の意を表すとともに、世界平和を祈念した。参列者全員による焼香では、それぞれが尊い命を犠牲にした戦没者の冥福を祈るとともに、二度と戦争が起こらないよう祈りを込めて合掌した。
法要終了後、公益財団法人千鳥ヶ淵戦没者墓苑奉仕会の若松重英理事長が挨拶に立ち、同墓苑に納められた遺骨が36万2570柱になったことを報告し、未帰還の遺骨の早期収集への思いを述べた。遺骨には、軍人、軍属のみならず海外で犠牲となった一般邦人も含まれ、いずれも遺族に引き渡すことのできなかったもので、未帰還の遺骨約113万柱が海外に残るとされている。
最後に日蓮宗を代表して小林順光宗務総長が「戦争の悲惨さや悲しみを忘れず、次世代に平和への思いを語り伝えることが使命」と話し、宗祖・日蓮聖人が『立正安国論』で「すべての人びとが法華経に帰依するならば、この世は仏国土となり立正安国・世界平和が実現されると説いた」と述べた。結びに、日蓮宗が「いのちに合掌」をスローガンに展開中の宗門運動「立正安国・お題目結縁運動」に触れ、平和の祈りを世界に発信することを誓った。