日蓮宗新聞

2015年6月10日号

琳派四〇〇年記念・大光琳祭開く

DSC_0152京都市大本山妙顯寺(三田村日正貫首)は6月2日、琳派400年記念・尾形光琳300回忌追善法要を営み、僧侶檀信徒約250人が参列した。同寺は元和元年(1615)に、本阿弥光悦が法華経による芸術村を開き始まった「琳派」の芸術をさらに飛躍・発展させた光琳の菩提寺。同日は命日にあたった。
同寺では、三田村貫首の強い願いで300回忌を記念して、光琳墓所跡を整備。当日には顕彰碑の除幕開眼も行われた。四方竹に囲まれた敷地に鞍馬石で作られた縦110㌢・横60㌢の石碑が建てられ、表面には中尾堯立正大学名誉教授監修で、光琳が好んで使った落款「法橋光琳」が刻まれた。法橋とは、律令時代の僧位の一つ。光琳の時代には朝廷から絵師や薬師などに与えられた位階で、社会的評価の証になった。今回の落款は、京都国立博物館蔵『太公望図屏風』(重文)から写されたもの。
午後1時から、本堂で大光琳祭が盛大に行われた。門川大作京都市長は祝辞で「京都は先人たちが自然と共に作りあげた文化都市で、その発展には宗教が大いに関わってきた」と挨拶し、寺院文化とともにさらなる京都の発展を願った。その後、河野元昭京都美術工芸大学長が「光琳―京都町衆・法華宗・妙顯寺」と題して講演。「光琳の芸術のベースには法華経があり、代々妙顯寺の信者であった家に生まれて育ったことが大きく影響している」と語った。
追善音楽大法要では、三田村貫首を導師に京都日蓮宗雅楽会が演奏、笙や笛の音が鳴り響き、ご宝前には酒井抱一作『観世音図』(同寺寺宝)に描かれる生花が再現され、琳派の世界観を表した。式中、表千家の千宗員若宗匠が献茶を仏祖三宝と光琳に行った。三田村貫首は「光琳の300回忌を行うことができたのはこの上ない喜び。どうか、これをご縁として、またご来山頂き、共に励み、共に学んでいきましょう」と結んだ。
大光琳祭では、同市本山本法寺(瀬川日照貫首)の宝物館の特別拝観があわせて行われ、美しい枯山水の庭や貴重な寺宝に、多くの参拝者が目を奪われていた。京都市内から参加した琳派のファンだという男性は「100年、200年と時を超えて気持ちを同じく、300回忌の節目に参列できたことは感無量」と話した。
また、妙顯寺では、約30年前から仏具屋や宮大工など、お寺に関わる様々な仕事をする関係者が龍華共栄会を結成、運営を手伝っている。倉橋収会長は「何かあれば、すぐに集まってお寺を助ける。これからも、共に生き、共に栄える関係を続けていきたい」と語る。その姿には、京都で花開いた法華芸術を支えた京都町衆の精神が継承されている。

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全国檀信徒協議会総会開く

DSC_0073 全国檀信徒協議会(池上幸保会長)は5月28日、東京・大田区の日蓮宗宗務院で第62回総会を開催し、全国各管区の会長や代表者ら約70人が出席した。
開会式では小林順光宗務総長を導師に法要が営まれ、全員でお題目を唱和した。その後、小林総長が、宗門運動「立正安国・お題目結縁運動」の「結実」までの6年間とすること、布教方針を「合掌」、今年度のサブテーマを「組織で動く」としたことを述べ、日蓮聖人御降誕八〇〇年に向けての実働の年であることを強調。そのためには僧侶檀信徒が一体となって取り組む必要があり、「熱烈なる信念、信仰のエネルギーを結集し、宗門の興隆を」と力強く協力を呼びかけた。
会議は、池上会長が議長となり進行され、昨年度の事業・活動報告に続き、会計報告が行われた。また池上会長は、昨年度に同会で制作した冊子『合掌~七つの教え』が好評で3万部以上<ruby><ruby>された実績から、今年度も事業を継続することを報告した。また任期満了に伴う役員改選が行われ、池上会長、武田家治副会長らの再任が決まった。
池上会長は、引き続き、祖山・霊跡・由緒寺院(総本山・大本山・本山)の護持顕彰を目的とする参拝の推進、宗門運動の支援、日蓮宗新聞の購読拡張など、世の中を明るくするためのパワーの源泉となるべく、活動を進めていくことを述べた。そのほか、会則改正、今年度予算案などの議案すべてが満場一致で承認された。
議事終了後は、教区や管区の多様な活動を学ぶことを目的に、埼玉県の伊藤光男常任委員が北関東教区の活動を発表。今回から新しく会長となった出席者も多く、他管区の活動内容に興味を示した。
また、大西秀樹師(京都府松林院住職)が「合掌」をテーマに宗門運動についての研修を行った。「いただきますなど道徳の合掌から、拝み合う法華経の合掌へ誘う運動が宗門運動」との説明に、参加者らは一生懸命に耳を傾けていた。
初めて出席した会長の1人は「初めてなので、いろいろな話が目新しく、新鮮だった。先祖代々日蓮宗にお世話になっており、これからも恩を返すためにできることをやっていきたい」と何かを得たように語った。
総会終了後は有志による団体参拝が行われ、1泊2日の日程で宮城県本山孝勝寺(谷川日清貫首)と宮城県石巻市法音寺(谷川正明住職)への参拝を行った。

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2015年6月1日号

陸前高田妙恩寺が全国からの協力で復興

悲母観世音菩薩①東日本大震災の津波で流失した陸前高田市妙恩寺(風間文静代務住職)が移転復興を遂げ、本堂入仏開眼落慶法要が5月16日に営まれた。井上日修総本山身延山久遠寺総務を導師に執り行われた法要に、僧侶檀信徒約250人が参列。祖師像ほか、本堂中心に安置された身延山大学(浜島典彦学長)制作の悲母観世音菩薩像(高さ約3・6㍍)を含めた妙恩寺は、犠牲者への慰霊と被災地早期復興への願いのシンボルとなり、参列者は思いを託した。

震災以前、妙恩寺は奇跡の一本松で有名な松原に所在していた。大正11年の創建以来、2度の津波被害から復興してきたが、東日本大震災では堂宇の流失と境内地海没のため、今回の小友町小ヶ口への移転となった。また悲母観音像造立は震災発生後すぐの平成23年4月に身延山大学が発願。同年9月に身延山久遠寺で鑿入法要が営まれ、制作が開始された。昨年の完成までの間、写経奉納や、復興の願いを込めた「ひと鑿運動」、足下に敷き詰められた約2万個の水晶寄進など、2千人以上が制作に携わったという。同像の遷座は今年の3月11日に行われ、今回の本堂落慶法要が全国僧侶檀信徒からの協力で完遂した妙恩寺復興の一つの区切りとなった。
法要前には、祝いに駆けつけた山梨県永照寺(吉田永正住職)檀信徒のベル演奏や身延町有志僧侶檀信徒の和讃が奉納されると、音色や歌声が復興途上の被災地の静けさのなかに沁み込んでいった。
法要後、井上総務は「たくさんの人びとの思いが詰まった観音像が慰霊と復興へのシンボルとなり、復興の緒についたばかりの被災地が震災以前よりも素晴らしい姿となることを心よりご祈念します」と挨拶した。これを受け、風間代務住職は震災から4年2ヵ月を振り返り、「何度も復興を断念しようと思いましたが、生かされた命の使命は、〝松原の法華さん〟と親しまれた妙恩寺を
〝小ヶ口の観音さん〟と再び親しまれるようにすること。今後も復興と整備に努めていきたい」と謝辞で述べた。

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新年のご挨拶。

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