ひとくち説法
2015年4月20日号
この師匠にしてこの弟子
私たちはお祖師さまの弟子として恥ずかしくない振る舞いをしているでしょうか。
本堂でお参りを終えたKさんが隣の部屋に入って来て私を見つけると「いつもお世話になっております」と座ってご挨拶。すると「あっ」と急に立ち上がって出口近くに座り直しました。
「どうされたのですか?」と聞くと「(お祖師さまのいらっしゃる本堂側の)上座からご挨拶してしまい失礼しました」とのこと。私はこの時Kさんの振る舞いに胸を打たれ、それ以上にKさんの日本舞踊の師匠Mさんの偉大さを感じました。Mさんは信仰については非常に厳しい方で、私を「お坊さん」として育ててくれたような人です。
後日Mさんにこの一件を話すと「お上人、そりゃ当り前のことです」と事無げに話されました。この師匠にしてこの弟子あり…です。
お祖師さま、師匠の弟子として、父母の子として胸を張って感謝の日々を送りたいものです。
(神奈川3部布教師会長・上谷泰雅)
2015年4月10日号
心の財を残す
毎日寺にお参りに来ていた檀信徒が亡くなり、その法事の時に、お嫁さんから「母の手帳に書いてありました」と見せていただきました。それを子どもたちに色紙に書いて、渡してあげました。「苦難は味方、貧しければこそ、甘やかされず育った、余裕がなかったからこそ、早くから働くことを覚えた、境遇に恵まれなかったからこそ、強い勇気と忍耐を養った、苦しめばこそ、人の親切と有り難さを知った、悩めばこそ、人の愛情の尊さを知った、だから貧しいことにも恵みがあり、苦しいことにも幸がある」。
お墓参りに来た方たちにも写してあげました。「あの方らしい」と感激していました。彼女なりのエンディングノートではないでしょうか。
日蓮聖人は『崇峻天皇御書』の中で「蔵の財よりも身の財すぐれたり、身の財より心の財第一なり」と述べられておりますが、良い財を子どもたちに残されたのではないでしょうか。
(神奈川2部布教師会長・金子智研)
2015年4月1日号
70年たっても
戦後70年。戦争を体験した人が少なくなっている。第二次世界大戦で日本の戦没者は310万人。そのうち海外では約240万人という。その47㌫の約113万人は海外に眠っている。
激戦地の一つにパラオのペリリュー島がある。先日その日本兵集団埋葬地の地図がアメリカで発見された。国や家族を守るために海外で戦死した兵士の望郷の念に米国人も日本人もないと、米国人が調査し資料を見つけ出してくれたのだ。島では1万人以上が戦死し、まだ約2600人の未帰還兵の遺骨が埋もれているらしい。調査をして早く収骨作業をしてもらいたいものだ。
現在、日蓮宗ではいのちの尊さや平和の大切さを社会に弘め、安穏な社会を築こうと、「立正安国・お題目結縁運動」を展開している。終戦から70年の節目の年にあたり、戦争の悲惨さを省みて、尊いいのちを守る平和のありがたさを人から人へ伝えていかなければならない。
(神奈川県第1部布教師会長・鈴木浄元)