2015年2月20日号
壱百日間の苦修錬行を終える
千葉県市川市大本山中山法華経寺(新井日湛貫首)に開設されていた日蓮宗加行所(新井貫首=伝主・工藤堯幸伝師)が2月10日、壱百日間の苦修錬行を終え、成満会が営まれた。日蓮宗独自の布教手段の一つである修法を相承した僧侶141人は、一天四海皆帰妙法の祖願達成に向けて、誓いを新たにした。
未明、修復を終えたばかりの娑婆世界と結界とを隔てる境界の「瑞門」(関連記事下)が開かれると、待ちわびた多くの檀信徒や寺族がお題目や「おかえりなさい」「よく頑張った」と声をかけ、門をくぐる加行僧を迎えた。
成満会では、加行僧が大音声の読経を轟かせ、仏祖三宝への奉告を行った。新井伝主から修行の証である〝許証〟を受け取った後、小林順光宗務総長から初行僧(初めて加行所で修行する僧侶)58人へ修法師辞令が交付された。
小林総長の挨拶では修法師が祖願達成や宗門運動「立正安国・お題目結縁運動」推進となる檀信徒や未信徒教化への大きな原動力になると期待した。工藤伝師は「一念発起して入行したものの、なかなか菩提の種の芽は出てまいりませんでした。しかし、信から歯をくいしばって立派な修行をつとめられました。どうか百日の尊い修行の功徳をいつまでも忘れることなく、またさらなる修行を積み、たくさんの人びとを教化してください」と激励した。謝辞では五行を成満した浅井信英全堂代表が「修法奥儀の伝授を賜り、今その恩に報いるべく、祖願達成の先兵となり祈祷修法で全世界の平和社会に寄与する」と述べ、立正安国の顕現を誓った。
また式後、初行代表を務めた田中智覚師(千葉県東光寺内)は、「初行を成満したからといって修行が終わったわけではなく、これからの修行が大事。たくさんの人に福徳力を分け与えられるように精進したい」と気を引き締めた。また初行・高野誠明師(石川県妙法寺内)を迎えに来た檀信徒の女性(25)は、「面会で変わり果てた姿を見て、心配しましたが、芯がある人だから大丈夫と成満を信じていました。この日を迎えられて本当にありがたい。私も頑張ってお寺を支えていきたい」と喜んでいた。