2015年2月10日号
世界中に平和の「福」が訪れることを
「福はうち」。立春の前日にあたる2月3日の「節分」に全国の寺院教会結社で節分追儺式が営まれ、春を待ちわびた多くの人びとが参加した。
節分会の歴史は古く、悪鬼・疫癘を追い払う行事として平安時代に宮中で盛大に執り行われたという。
近年の数々の自然災害のみならず、テロの脅威にもさらされる日本や世界。この節目にもう一度「命の尊さ」を見つめ直し、世界中に福が訪れることを。
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東京都大田区の大本山池上本門寺(酒井日慈貫首)では除災開運を願う節分追儺式法要と豆まきが行われた。一年の招福と無病息災を祈る約1万3千人が参拝した。酒井貫首を導師に午後2時から大堂(祖師堂)で法要が営まれ、修法師が参列した裃姿の歳男・歳女ら含め世界中の招福や無病息災を祈念し、祈祷を行った。
午後3時から梵鐘の音を合図に、大堂前に設置された特設桟敷から豆まきが行われた。酒井貫首や歳男・歳女、元プロレスラーでタレントの佐々木健介・北斗晶夫妻や格闘界の著名人、アナウンサーの小林麻耶さん、日蓮宗新聞社オリジナルキャラクターこぞうくんなどが勢いよく福豆をまいた。参詣者はまかれた福を得ようと両手を一杯に広げ、まかれるたびに大きな歓声を上げた。
同寺は、力道山の墓があることで有名で、毎年多くの格闘家やそのファンも参拝に訪れる。
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千葉県市川市大本山中山法華経寺(新井日湛貫首)の節分追儺会は2回に分けて行われた。歳男・歳女や芸能人などのゲスト計約300人が参列するなか、日蓮宗加行所寒壱百日間の成満を1週間後に控えた工藤堯幸伝師をはじめ修行僧ら計約140人が出仕し、除災得幸のための祈祷を行った。
豆まきは祖師堂横に設置された特別桟敷で行われた。新井貫首の「慈眼視衆生 福聚海無量 福はーうち!」という掛け声のもと、歳男・歳女ほかタレントの泉アキさん・奈美悦子さん・魔裟斗さん・はるな愛さん、歌手の谷村有美さんらが一斉に豆をまいた。境内に集まった計約1万人の参拝者のなかには福を運ぶという豆を得ようと、身を乗り出して手を伸ばす人や、袋を広げる人などの姿が見られた。
参拝者の一人は、「昨日まで寒かったが、今日は暖かい。春はすぐそこですね。自然や人の営みとして春を迎えられることが本当の〝福〟ではないでしょうか」と笑った。