2015年2月1日号
阪神・淡路大震災から20年
【兵庫東】阪神・淡路大震災から20年を迎えた1月17日、青年会(都倉隆祥会長)の会員ら15人は神戸市中央区東遊園地で、多くの人が祈りを捧げるなか慰霊の読経を行った。
地震発生時刻の午前5時46分、同園内の竹灯籠前で黙祷した後、ボランティアの人びとによって作られた雪地蔵に一読し、物故者の霊位に回向した。続いて、同市長田区御蔵北公園慰霊碑前で一読。また同市須磨区護国寺(川口久雄住職)で追善法要を営んだ。
当時の被災者からは、悲しみと記憶を分かち合い、共に支えあい歩んでいこうと励す声が今も多く聞かれる。また青年会員のほとんどは当時、小学生や中学生で震災を体験し、過酷な状況を目の当たりにした。その生かされた命の尊さ、命を守る教訓を、宗門運動「立正安国・お題目結縁運動」のスローガン「いのちに合掌」のもと次の世代へ受け継いでいかなければならない。
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日蓮宗新聞で報じてきた青年会による阪神・淡路大震災の日に行われる神戸市三宮東遊園地での慰霊読経。ここでの読経は、毎年雪地蔵の前で行われている。この雪地蔵は富山県の辻義夫さん(65)がこの日のために富山から運んできた雪で辻さん自身が作っているものだ。
辻さんは震災後、毛布や布団などを集めいち早く現地入りし、救援活動を行った。翌年、ボランティアで避難所の子どもたちを喜ばせようと富山から新雪を運ぶことを発願。平成10年から同遊園地で「雪地蔵」を作り始めた。しかし、協力者が少なく犠牲者の6432人のための60体を作ることが「本当に供養になるのだろうか」と疑問を持ったという。そのような時、若い僧侶たちがこの雪地蔵の前で読経を始めた。その姿を見た辻さんは「私たちは間違ってなかった。雪地蔵に命が吹き込まれ、本物のお地蔵さまになった」と確信し、涙が止まらなかったという。そして名乗ることもなく、ただお題目を唱える僧侶の姿に感動し、辻さんはこの宗派の檀家になろうと決心。富山に帰ると小矢部市本行寺(櫻栄優一住職)のご縁をいただき檀徒となった。
今回も雪地蔵づくりのため、富山から東遊園地や西宮市の小学校へ雪を届けた辻さん。「何年経っても鎮魂の気持ちで雪を届け続けたい」と語った。