ひとくち説法
2015年1月20日号
顧みる教え
檀家の法事の席で「知識と経験は悪知恵を生む」という言葉に出会いました。
筆者は来年還暦を迎えますが、妙に納得させられる響きがありました。
知識を蓄え経験を積むことは大切なことですが、それが本当により善く生きていくため、自分以外の人たちをも幸せにするための智慧となったのかと問われたら、人は何と答えるのでしょうか……。
譬喩品のなかでお釈迦さまは、智慧第一と称されたお弟子の舎利弗尊者に「少しばかり覚えただけで解ったような顔をして、大事なことを忘れ、自分中心にしか物事を見れない者には、この教えを説いてはいけない」とおっしゃっています。
法華経は、自らを顧みる教えです。
すなおに、まじめに、しんけんに、仏さまのお心の込められた「妙法蓮華経一部八巻二十八品6万9千384文字のお説法」を頂きましょう。
南無妙法蓮華経
(北海道西部布教師会長・宇賀神光章)
2015年1月10日号
春を待つシンデレラ
皆さんはグリム童話のなかのシンデレラのお話を、ご存知だと思います。
シンデレラは継母とその2人の娘にいじめられて、家政婦のようにこき使われ、灰まみれになって働きました。シンデレラとは灰かぶりという意味だそうです。ある時お城から王子様の花嫁を選ぶための舞踏会の案内が来ました。シンデレラは「お前にはドレスがないからだめだよ」と連れていってもらえなかったので、小鳥に頼んで素敵なドレスを用意してもらいました。王子様は美しいシンデレラに夢中になり、やがて二人は結婚して幸せに暮らしました。
シンデレラはまた、ドイツの厳しい冬を象徴しているとのことです。
日蓮聖人は「法華経を信ずる人は冬のごとし。冬は必ず春となる」と仰っておられます。
私たちは厳しい冬にこそ、法華経の信心に励まなければならないと思います。
(北海道東部布教師会長・小坂井仁厚)
2015年1月1日号
娑婆即寂光土
かつて平和の祭典・冬季オリンピックが開催された旧ユーゴスラビアのサラエボは、オリンピックの8年後にボスニア・ヘルツェゴビナ紛争により美しい街が地獄図と化した。多くの市民が殺害され街が破壊された。憎しみが憎しみを生み穢土(けがれた大地)となった。日蓮聖人は「衆生の心けがるれば土もけがれ、心清ければ土も清しとて、浄土と云ひ穢土と云も土に二の隔なし。只我等が心の善悪によると見たり」と説かれる。憎しみは怒りや恐怖を生み地獄が現れる。柔和で正直な心からは浄土が現れる。もし怒りや憎しみの心が生じたならば「南無妙法蓮華経」と唱えてみよう。自身から浄土を広げてみよう。法華経の霊山浄土とは、天国やはるか彼方の浄土ではない。今いるこの娑婆世界が実は浄土であると説く。一人ひとりが持っている仏心を膨らませてみよう。1分1秒でも長く仏心を持ってみよう。今生きているこの瞬間に霊山浄土・常寂光土は現れている。
(青森県布教師会長・三浦泰昭)