オピニオン
2015年1月1日
娑婆即寂光土
かつて平和の祭典・冬季オリンピックが開催された旧ユーゴスラビアのサラエボは、オリンピックの8年後にボスニア・ヘルツェゴビナ紛争により美しい街が地獄図と化した。多くの市民が殺害され街が破壊された。憎しみが憎しみを生み穢土(けがれた大地)となった。日蓮聖人は「衆生の心けがるれば土もけがれ、心清ければ土も清しとて、浄土と云ひ穢土と云も土に二の隔なし。只我等が心の善悪によると見たり」と説かれる。憎しみは怒りや恐怖を生み地獄が現れる。柔和で正直な心からは浄土が現れる。もし怒りや憎しみの心が生じたならば「南無妙法蓮華経」と唱えてみよう。自身から浄土を広げてみよう。法華経の霊山浄土とは、天国やはるか彼方の浄土ではない。今いるこの娑婆世界が実は浄土であると説く。一人ひとりが持っている仏心を膨らませてみよう。1分1秒でも長く仏心を持ってみよう。今生きているこの瞬間に霊山浄土・常寂光土は現れている。
(青森県布教師会長・三浦泰昭)