ひとくち説法
2014年12月20日号
雪裡の想い
苦手な冬が来る。年齢を増すごとに、寒風が身を刺す。特に吹雪時の運転は不安が付きまとう。帰宅時には、南無妙法蓮華経と感謝のお題目を唱える。常に、ご守護を戴いていることを感じる冬でもある。雪は一晩たてば氷の固まり。軒下には、槍のような丸太程のの氷柱が、下を通る者を狙っているかのようだ。昨年は除雪用のスコップが犠牲になった。春まで冬眠させてあげようと、勝手な言い分で負けてしまった。冬には弱い自分。
歩けば滑って転ぶし、スパイク付きの靴が頼りになる。昔はなかった、こんな物。そう思った時、日蓮聖人の佐渡流罪が偲ばれた。「雪降り積りて消ゆる事なし―夜をあかし日をくらす」。
日蓮聖人は「坐立行、一心に法華の文字を念ぜよ」と述べられた。それを想えば、まだまだ、修行の身です。寒いがゆえに、暖が恋しく、春が待ちどおしいのです。「後生には大楽をうくべければ大に悦ばし」と精進しましょう。
(秋田県布教師会長・木名瀬了昭)
2014年12月10日号
慰霊と復興への道
「幽霊を見た ・ 亡くなった家族に会った」
東日本大震災の被災地では震災直後から現在までこういった声がよく聞かれます。
ある日、3・11後にできた仮設中学校に赴任した女性からそのような相談を受けました。その校舎の西側に整地されたグラウンドは、かつて震災犠牲者の遺体安置場だったので、供養を行うことにしました。
しかし、その時に女性と「犠牲者の御霊(みたま)を追い払うのでは無く、安心を与えるための供養であること。残念の御霊は、子どもたちの未来に後事を託すしか無いが、今の教育は知識の詰め込み偏重なので、御霊が安心するように、子どもたちの魂の育成に心がける」ことを話し合いました。
塔婆を認(したた)め、供物と自我偈訓読・唱題・回向の醍醐味を捧げ終わると、その女性は「心と体が軽くなり、楽になりました」と言われました。この世もあの世も、日蓮聖人のお題目の光と力に依ってこその、安全・安心の道であるとの体信でした。
(岩手県布教師会長・三浦恵伸)
2014年12月1日号
四つの心、六つの行い
慈の心 他に仕合せを与えたい恵みの心
悲の心 他の苦を除きたい憐れみの心
喜の心 他の仕合せを自分の仕合せと共に喜ぶ心
捨の心 我を捨て他に奉仕する心を養って、
布施 物心共に惜しみなく世に捧げる行い
持戒 善を勧め悪を除く行い
忍辱 正道のため困苦誘惑に打ち克つ行い
精進 社会浄化奉仕のための努力を行い
禅定 邪念妄想を捨て心集中する行い
智慧 よく視よく聴きよく読んで正しい智識を身につける行いを実践しましょう。
右、当山の布教箋である。この教箋を「人生大切なことだから」と言って孫が嫁に行く時に祖母に言われた。その孫がいま母になり、職業人になって祖母の言葉を実践しているという。祖母の葬儀の時の孫代表の弔辞であった。この教箋を教えた祖母、素直に受け聴き入れた孫に拍手を送り、さらに四無量心、六波羅蜜を実践してほしい。
(山形県布教師会長・久松玄徳)