ひとくち説法
2014年9月20日号
常懐悲感 心遂醒悟
「四年前は家に帰るとお母さんが『おかえり』と大きな声で迎えてくれた。今は『ただいま』と言っても誰もいない。ぼくはさみしい。この悲しみをどこにぶつければいいのかわからない。
でも、ぼくにはお父さんがいる。悲しい時も怒っている時もお父さんがいる。お父さんと一緒に歩いて行くしかない。」これは、東日本大震災で、祖父母と母と弟の4人を一度に亡くし、今は父子2人で仮設住宅に暮らす千葉雄貴君の作文である。
法華経の寿量品のなかに「常懐悲感 心遂醒悟」常に悲しみをいだき続けて心は遂に醒めて悟りにいたるとある。雄貴君も、やり場のない悲しみや怒りを抱き続けることで、生きて行く道を見つけ出している。この逆境に負けない生きる力は、出来事を否定的に捉えるのではなく、受け入れて共に生きることで得たものと思う。全てを肯定する法華経の開会の思想がここに見えてくる。
(熊本県布教師会長・山口義人)
2014年9月10日号
終活で考えた
先日「終活~人生の終焉への心構え~」と題したシンポジウムに参加した。主催者の発表では300人の参加が有ったと云う。大半がご高齢の方たちで、関心の大きさを感じた。長寿社会の中、メディアがその不安や心配を煽っている感もあるが、深刻な問題でもある。人生の最終章をどの様に生きるか? 貧しさの中では今日生きるのに精一杯で考える余裕も無いが、豊かな社会であればある程、生きる意味が求められているように思う。「どちらが幸福なのだろうか」と考えてみた。確かに経済や環境に恵まれ、健康であれば云うことはないのであろう。しかし、諸行無常は仏教の真理。だからこそお釈迦さまは正しい生き方「八正道」を説かれた。現代ほど菩薩としての生き方を勧奨する法華経が必要な時は無いと思う。「本当の幸せ」を一緒に求めて行きましょう。
(福岡県布教師会長・渡邊和弘)
終活で考えた
先日「終活~人生の終焉への心構え~」と題したシンポジウムに参加した。主催者の発表では300人の参加が有ったと云う。大半がご高齢の方たちで、関心の大きさを感じた。長寿社会の中、メディアがその不安や心配を煽っている感もあるが、深刻な問題でもある。人生の最終章をどの様に生きるか? 貧しさの中では今日生きるのに精一杯で考える余裕も無いが、豊かな社会であればある程、生きる意味が求められているように思う。「どちらが幸福なのだろうか」と考えてみた。確かに経済や環境に恵まれ、健康であれば云うことはないのであろう。しかし、諸行無常は仏教の真理。だからこそお釈迦さまは正しい生き方「八正道」を説かれた。現代ほど菩薩としての生き方を勧奨する法華経が必要な時は無いと思う。「本当の幸せ」を一緒に求めて行きましょう。
(福岡県布教師会長・渡邊和弘)