日蓮宗新聞
2014年9月10日号
小林順光宗務総長被災現場の視察
8月20日未明に広島市内で発生した土砂災害を受け、小林順光宗務総長(災害対策本部長)は同27日、広島市役所と被災した龍華寺(疋田英順住職)にお見舞金を届けるとともに、被災現場の視察を行った。
市役所へは濱田壽教広島県宗務所長も同行。日蓮宗からはお見舞金、広島宗務所からは義援金を贈呈し、被害概況や今後の復旧計画などの情報収集を行った。その後、小林総長と濱田所長らは土石流で本堂などに大被害を受けた龍華寺を訪問。住職が不在だったため、美香子寺庭婦人にそれぞれからお見舞金が手渡された。
次いで小林総長らは、宗務所員の案内で被災現場の視察を行った。現場付近は行方不明者の捜索が続くため、境内地には立ち入れなかったが、龍華寺の本堂が確認できる位置まで進み視察を行い、合掌して犠牲者の冥福を祈った。
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土砂災害で発生した土石流は75ヵ所。そのうち4地区で死者・行方不明者計74人を出した。龍華寺の建つ八木地区は最も多くの犠牲者があった地区。同寺は八木地区で一番上の位置あり、土石流の第一波を直接、最初に受ける形となった。倒壊は免れたものの、2階の本堂まで土砂が大量に流入するなど甚大な被害を受けた。同寺では行方不明者全員の安否と身元の確認を待って、後片付けを本格的に行っていきたいとしている。
広島市では県外からのボランティアについて、市役所のホームページ上の案内を事前チェックするよう呼びかけている。また本宗寺院関係の復旧に関するボランティア活動について広島県宗務所は、現場の収容人数などの問題から同宗務所との事前調整を希望している。
2014年9月1日号
世界立正平和祈願の継承誓う
69回目の終戦記念日を迎えた8月15日、日蓮宗は小林順光宗務総長を導師に「千鳥ヶ淵戦没者追善供養並世界立正平和祈願法要」を、東京・千代田区の千鳥ヶ淵戦没者墓苑で営んだ。この法要は昭和34年に同墓苑が創建されてから日蓮宗が行っている法要で、今年が56回目となる。戦没者の遺骨が納められている六角堂内に大曼荼羅ご本尊を奉安し、池上幸保全国日蓮宗檀信徒協議会会長のほか、法華一乗会の会員で公益財団法人・同墓苑奉仕会会長の堀内光雄氏をはじめ、谷垣禎一氏、武見敬三氏、佐藤ゆかり氏らが参列。檀信徒約400人とともに戦没者の慰霊と平和への祈りを捧げた。
今年は、導師を小林順光日蓮宗宗務総長、副導師を東京4管区宗務所の田村宏順所長(東部)、矢嶋泰淳所長(西部)、石井隆康所長(南部)、望月兼雄所長(北部)が務めた。修法導師は豊田昌樹東京北部修法師会長が務め、式衆に東京四管区の声明師会、修法師会、行脚隊に青年会の各師が出仕。六角堂の中央に安置された陶棺に向かい声明、読経、修法を行い、表白文で戦没者諸精霊に追悼の意を表すとともに、世界平和を祈念した。参列者全員による焼香では、それぞれが尊い命を犠牲にした戦没者の冥福を祈るとともに、二度と戦争が起こらぬよう祈りを込めて合掌した。
法要終了後、公益財団法人千鳥ヶ淵戦没者墓苑奉仕会の若松重英理事長が挨拶に立ち、同墓苑創設以来続く日蓮宗の法要に対し謝辞を述べ、遺骨収集事業の現状を報告した。同墓苑に納められている遺骨は、軍人、軍属のみならず海外で犠牲となった一般邦人も含まれ、いずれも遺族に引き渡すことのできなかったもので、今年も収集された遺骨が加わり総数は36万96柱となった。
最後に日蓮宗を代表して小林宗務総長が「戦争の恐ろしさ・むなしさ・悲しさ、また平和の尊さ・いのちの尊さを伝え、今生きていられる幸せを感謝し、戦没者追善と世界立正平和の祈願を日蓮宗の次世代に継承していく」と誓い、この日の祈りが戦没者諸霊位を安らかにし、人類の平安の実現を念じて挨拶を結んだ。
毎年この法要に参列する神奈川県の檀徒の一人は昭和19年に南太平洋上で叔父を失い、とうとう遺骨は戻らなかった。「叔父の魂はここに帰ってきていると信じている。もう叔父を知る親族は私一人だけになってしまった。元気なうちは毎年参列します」と話して、1枚しか残っていないという叔父の写真とともに会場を後にした。