2014年9月10日
迎え盆の夕刻。色とりどりのお花で
迎え盆の夕刻。色とりどりのお花でいっぱいの墓地を歩いた。いつもは白黒の景色が一気に華やかになるお盆の墓地が大好きだ。そんななか、お花のあがっていないお墓がぽつりぽつり。お参りの都合がつかなかった家、無縁になってしまったお墓、事情は様々だ。待っても待ってもお迎えが来ない寂しさを思うといたたまれなくなり、お線香の束に火をつけた▼きっと明日は来ますよ…今年も一緒にお留守番しましょうか…。お題目と共にお参りのなかった墓地をまわる。するとそのうちの何件かにはお線香だけがそっとあがっていることに気付く。すぐにお隣さんと同じ香りのお線香だと解った。「こちらにまですみません、いいお嬢さんですね」「いやあ、私の孫なんですよ」ご先祖さまの会話が聞こえてくるようだった▼送り盆の夕刻、いつまでも車を見送るご夫婦の姿があった。「やっとお礼が言えました」数十年、いつもお線香を手向けてくれていた遠縁の子孫にばったり会えたという。ずっと伝えたかった感謝の思いを伝えることができた二人の笑顔にはご先祖さまの笑顔が重なった▼思いがけない出会いによって、そこにあったご縁に気付づく。たくさんのご縁に支えられている私たち。まだまだ気付いていないご縁はありませんか? かけがえのないご縁に感謝してお題目をあげた時、さらに見えてくるかもしれません。お彼岸にはまた新しいご縁が結ばれますように。(蛙)