2014年7月1日
「宗教は必要か?」と若い人に質問されたことが
「宗教は必要か?」と若い人に質問されたことが何度かある。僧侶の私は「日本では生きるために必要だ」と答えている▼調査で「自分は無宗教だ」と答えている人が7割を超えているのに「宗教は大切か?」と問いかけると半数以上が「大切である」と答える日本は摩訶不思議の国である。キリスト教やイスラム教のような一神教の「神のご加護によって」とか「神のみ心のままに」という言い回しを「おかげさまで」という言葉と比較するとおもしろい。主語は何だろう? 神さま仏さま、ご先祖さま、運や天、まわりの人なのか、一体何のおかげだろう。思うに日本国民は宗教オンチではなく無自覚ではあるが、宗教性豊かな国民ではなかろうか▼聖徳太子の『法華義疏』から始まる日本の法華経文化の発展は最澄によって高揚したが、浄土教や禅の興隆により、法華経的宇宙観のなかの日本を自覚する人が皆無になった時、日蓮聖人が現れた不思議さを思う。今日、法華経に縁ある国で、無宗教と答える人が多数を占める現実に警鐘を鳴らさなければならないのはお題目に縁をいただく私たちだ。▼「出羽の守」をご存知だろうか。「…では」と外国の事例、見聞して得た知識などを引用して語る人を揶揄していう。しかし私たちは「法華経では」「宗祖の教えでは」と現代に合うように消化して伝える本物の出羽の守にならなければと思いを深めている。(雅)