2014年6月10日
世の中には全く考えもしないことを
世の中には全く考えもしないことを思いつく人がいるものだ。曰く「いままでこの地球上、生まれて死んでいった人間の総数は何人だろうか」と。これをちゃんと調べている人もいるというから更に驚く▼以前からご先祖の数は10代遡ると1024人、30代で10億人だとは聞いていたが、人類の出生累積数までは頭をかすめもしなかった。「200万年前(人類最古の旧石器時代)から今までで約1120億人という試算があるという」(人類学者香原志勢氏)。意外に少ないようだが、昔は人口も多くなく、また血縁関係での結婚もあるので、単純にねずみ算式にはならないようだ。で、この数字になるのだろう。私たちのいのちは1120億分の1という、奇跡に近い確率で生まれてきたのだ▼それぞれのカップルが出会いから結婚に至るまで、いろいろな過程を経て結論を出すことだろう。お檀家の子息がいま結婚しようとしている。彼は再発の可能性を持つがん治療を過去に受けている。二人はそれを乗り越えて結論を出した。だが挙式が近づくにつれて彼は、「こんな自分とは一緒にならないほうが彼女のためではないか」と思い悩む。ようやく導き出した結論は、「彼女と一緒に生きたいのなら、自分の将来を信じるしかない。それが生きて行くってことだ」と▼近い将来み仏に導かれた1120億分の1の、何物にも変え難いいのちの灯が燈される。(汲)