ひとくち説法
2014年5月20日号
少欲知足
歳とともに歯がガタガタになりつつあます。懇意にしている歯医者に行った時のことです。受付で診察券を出したところ、チリリリーンと昔懐かしい電話の呼び出し音がしました。受付の後ろにはダイヤル式の黒電話がデンと構えています。この歯医者では、電話だけでなく治療用の椅子など古い物が大切に使われています。また虫歯でも抜かないことで有名です。子どもには歯科衛生士が治療に来ることを少なくするために歯ブラシの使い方指導も徹底しています。私の歯もグラグラしている1本をいずれ抜かないといけないけれど、もう少し持たせてみようと言われてから数ヵ月が過ぎます。親からいただいた身体の一部ですので、大切にするのは当然です。この歯医者の治療技術や方法などが評判で予約も常に一杯です。新しい物を追っかける生活が当たり前の今日、それが本当に必要かどうかという「少欲知足」や物を大切にすることを考えさせられた歯科治療でした。
(兵庫西部布教師会長・井本学明)
2014年5月10日号
第2のチャンス
ゴールデンウィーク(G・W)も終わり、皆さまもようやく日常の生活に戻られた頃ではないかと思います。私もG・W中、家族と食事に出かけたのですが、そのレストランの額にかかっていた言葉がとても素敵だったので思わずメモして帰ってきました。その言葉とはこんな言葉でした…。
「人生はいつでも、あなたに第2のチャンスを与えてくれます。それは明日と言います」
明日という第2のチャンスは私たちすべてに与えられています。ただし現実の世界では、第2のチャンスの明日といっても楽ばかりで苦がないことはありません、むしろ苦ばかりが多いのが日常です。苦楽は表裏一体不二のものです。だからこそ苦のなかに喜びを見出すお題目の教えこそ、私たちが第2のチャンスを活かすことができる唯一の方法です。日々の苦悩のなかで生きる私たちへの日蓮聖人からの激励のお言葉がお題目なのです。
(兵庫東部布教師会長・武田隆遠)
2014年5月1日号
流行語から
おもてなし
誰もが知っている言葉である。しかし、意味は? と聞かれると少し困ってしまう。「うら、おもてがない」と考える方もいた。
調べてみた。《もて》には、数種類の漢字があった。その中で心に響いたのは《以》の用字である。
それは《○○を以って□□となす》と言うことである。「和を以って貴し」となす。これは、もっともよく知られている用法だろう。
東京オリンピック招致は
《和の心を以て、皆さまの楽しみとなす》という姿勢だろう。
私たちは
《敬いの心を以て、安穏な社会となす》
これが、お題目に生きる私たちの
《お・も・て・な・し》である。
(和歌山県布教師会長・村田龍学)