ひとくち説法
2014年4月20日号
お・も・て・な・し
昨年、「お・も・て・な・し」が流行語大賞を受賞しました。6年後の東京オリンピック・パラリンピック招致活動で滝川クリステルさんのパフォーマンスが一躍脚光を浴びたことは記憶に新しいところです。私にはこのシーンが「わたしは あなたを 拝みます」と言って合掌をしているように見えました。これは、ご降誕800年に向けての奈良県独自のスローガンなのです。
「おもてなし」とは、他者を思いやること、他者を敬うことが基本です。常不軽菩薩が「深くあなた方を敬います。けっして軽んじません。あなた方は菩薩道を修行して、仏さまになられるからです」と言って修行を続け、やがて仏さまの心を悟られたのです。この菩薩とは、ありし日のお釈迦さまであり、宗祖は菩薩をお手本とされました。ご降誕800年は、東京オリンピックの翌年に当たります。今年は、日本中が合掌による、おもてなしの心を育てる元年としたいものです。
(奈良県布教師会長・岡田法顯)
2014年4月10日号
寒修行
私がこの寺の住職になって46年が間、小寒・大寒から立春に向けて、檀信徒とともに唱題行脚し〝寒修行〟を行っています。この地は、豪雪地帯で、溶けた雪が夜には凍てつき滑ることもあります。私も修行参加者も年を重ね、ここ10年ほどは土・日曜祝日に行っています。
うちわ太鼓の音が聞こえ始めると、近所の方々はお仏供米やお供えを用意してお願いに来たり、電話で「○○家やけど何時頃来てくれる」とか「○○家ですがお願いします」と申し込んでこられる方もいます。玄関先で合掌したり、家族揃ってお参りしてくれたり、仏間にはローソクと線香を灯して迎えてくれるところもあります。その家の家内安全、家族皆の身体健全・無病息災を祈り、住んでいる地域の人々が安心安全で暮らせるよう、また何時の世にか、法華経・お題目に良きご縁を結ばれるよう、祈り願いながら〝寒修行〟を行っています。
(滋賀県布教師会会長・福山賢修)
2014年4月1日号
先行きを知る=法華経は道しるべ
山道を車で走っていました。陽光が道を白く照らしています。急カーブにさしかかったとき、突然道に影が射し黒雲が湧くかに見えました。何だかよく分からないまま急ブレーキをかけました。
間一髪。カーブを内回りしてきた大型トラックがタイヤをきしらせながら横を通り過ぎて行きます。口から心臓が飛び出すほど驚きました。長閑な田舎道に運転手も油断していたのでしょう。もし影を見ていなかったらどうなったことか。
些細なことでも、しっかり情報を得て進む。これは運転だけではなく、人生という道を歩む上でも大切なことです。
その人生を知りきっているのが仏です。仏の教えこそは、何よりも頼りになる道標ではないでしょうか。経文にも「若し法を聞くこと有らん者は一人として成仏せずということ無けん」とあります。仏の教えに耳を傾け、先行きをしっかり見定めて、輝くような人生を歩んでいきましょう。
(大阪豊能布教師会長・植田観樹)