2014年4月1日
いよいよ桜の季節が始まった。
いよいよ桜の季節が始まった。仕事での出張が多いので桜がちょうど見頃という時期に家にいられるとは限らない。一度も桜を見ないまま春が終わった年もある。寄住している寺の境内の緋寒桜は3月の声を聞くとともにほころび始めたから、とりあえず今年はすでに「桜」を愛でたことにはなる▼桜の散りゆく様を人生になぞらえるというのも大方の日本人の好むところだ。その散り際を武士の人生にたとえることも多い。同じことを長く続けることをあまり好まなかったようにもみえるが、長く続かないのが常という摂理の中で身についた価値観なのかもしれない▼清少納言が紫式部を指して女性は早くみまかった方がよいとののしったとも伝えられる。当時の平均寿命は30歳程度だったというから、その短い人生の中でどう花を咲かせるかに重点が置かれ、いかにして長く咲き続けるかなど考えもしなかったようだ▼時は流れ、日本では百歳以上の高齢者が5万人という時代になった。人生の花盛りは一度や二度ではなくなり、その年齢に合った咲き方ができるようになった。桜にたとえるなら薄緑色の大島桜や、五月頃から咲き出す八重桜もソメイヨシノに負けていない。それらが葉桜に移り行く様も見事だ。河津桜は、まだ寒い時期から先頭を切って勇ましい。人生もその時々に様々な花を咲かせて生きたいものだ。 (寮)