日蓮宗新聞

2014年3月20日号

東日本大震災から3年目を迎えた3月11日

震災①東日本大震災から3年目を迎えた3月11日、岩手県、福島県と並んで甚大な被害を受けた宮城県では、宗務所(日野教恵所長)主催の「東日本大震災慰霊法要・復興祈願法要」が石巻市久円寺(谷川海正住職)で営まれた。これには遺族76人を含む約150人の檀信徒とともに同日開催された管区檀信徒研修道場に参加した38人が参列。犠牲者を悼み、早期復興の祈りを捧げた。

震災⑤立正大学仏教学部では毎年3月11日に石巻市内の唱題行脚を行っている。今年は堀之内、谷中の宗立学寮生のほか一般学生の有志を含む35人が参加。また当日は、東京都南部青年会16人も唱題行脚を行った。

 

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宗門機構検討委員会規程が制定

宗門の立法や宗務に関する議決機関の第108定期宗会が3月4日から7日まで東京都大田区の日蓮宗宗務院で開催された。宗会議員定員の45人が出席し、小林順光宗務総長が提出した規程制定・改正案や予算案などについて慎重審議が行われた。
開会式では内野日総管長猊下(総本山身延山久遠寺法主)が教旨で、4月から宗門運動〝立正安国・お題目結縁運動〟第2期育成活動の総括年度を迎えることについて述べられ、「第3期開花活動、第4期結実活動、そして平成33年の宗祖御降誕800年を実りあるものとするためにも、宗会議員に課せられた責務は誠に大なるもの」と宗会の使命を全うすることを期待された。
本会議では、小林総長が施政方針挨拶を行った。小林総長は祖山中心の信仰を持ち、祖願の立正安国・四海帰妙の達成に向けて、ご降誕800年に向けて内局一同、不惜身命で取り組むことを誓った。また合掌礼の普及を推進するため、平成26年度の布教方針を「合掌~檀信徒のくらしの中に根づかせる」と定めたことや、2月に開かれた宗門運動本部企画推進会議で800年事業案として慶讃法要、記念大会、運動推進事業と特別布教への助成、宗門財産・施設の整備、祖山霊跡由緒寺院と宗門史跡の顕彰、広報・文化事業の推進、布教拠点確保援助の充実、災害などの宗内危機管理に対応する事業への助成、各種出版事業、その他目的を達成するための事業の10項目が承認されたことを報告した。さらに北米で布教が始まってから今年で100年を迎えるため、この記念法要をご降誕800年の最初の事業として行うことを報告した。ほかに日蓮宗が昭和34年から行っている東京千鳥ヶ淵戦没者墓苑での追善供養にくわえ、9月に広島で原爆犠牲者慰霊法要を営み、平和活動を推進していくことや、東日本大震災への支援の継続、高齢化社会と地縁の希薄化からコミュニティの社会を再生するための「シルバーてらこや」(仮称)を寺院に普及させるための諮問などについて述べた。
提出議案の所管説明では、小林正雄宗務総長室長が議案の一つ「宗門機構検討委員会規程制定案」について述べた。小林室長は、「平成14年に実施された宗門の機構改革は、実動部門としての伝道機能の一本化、宗務執行のために管理部門のスリム化、官房機能の宗務総長室の設置などで、高い評価を受けてきた。一方、19年に宗門運動が宗憲に謳われ、宗門運動本部や本部企画会議の設置により従来の伝道企画会議の位置づけが不明確となってきた。ご降誕800年を迎えるにあたり、伝道宗門の新たなる機構を検討し形成していかなければならない」と語った。
また同議案の小林総長に対する代表質問でも、宗政会派同心会の吉田見悠会長が「宗憲に基づき宗務総長のリーダーシップのもと、管理部門と実働部門が総合的に機能し、宗内外の状況を把握し、政策立案と宗務執行がなされなければならない」と立法・司法・行政にわたって機構の検討を要する必要があると述べた。同明和会の塩田義徹会長は「宗門機構の検討は定期的になされるべきで、反対するものではない」と前向きな姿勢を示した。
同議案は総務委員会に付託され、慎重に議論。「変化する社会への対応として必要」とまとめられ、本会議で同委員会松永慈弘委員長から報告され、原案可決された。
閉会式では小林総長が、3月11日の東日本大震災の日に向けて、犠牲者供養のためのお題目を宗会議員とともに唱えた。

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2014年3月10日号

お彼岸法話:慌しい生活の私たち

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愛知県田原市法華寺 豊田慈證住職

◆慌しい農夫
ある農夫が、朝早く起きて畑を耕そうとした。ところが、トラクターの燃料が切れていたので近くまで買いに行ってきた。途中でブタにえさをやっていないことを思い出して、納屋にえさを取りに行った。すると、ジャガイモが発芽しているのを発見した。これはいけないと思い、ジャガイモの芽をとっているうちに、暖炉の薪がなくなっていることを思い出して、薪小屋へ足を運んだ。
薪を持って母屋へ向かっていると、ニワトリの様子が変である。どうも病気にかかったらしい。とりあえず応急処置をほどこして、薪を持って母屋にたどり着いた頃には日がトップリと暮れていた。
農夫は、やれやれ何とせわしい一日であったと思いながら、一番大切な畑を耕すことができなかったことに気が付いたのは、床に入ってからだった。
農夫とトラクター 何とも慌しい農夫のお話ですが、ついつい目の前のことに追われて日々を過ごしてしまう、今の私たちの生活にも良くあてはまるような気がして、何とも身につまされます。
お釈迦さまは、
「いつも雑踏の中に身を置いていたのでは、正しい考えや判断・決断はできない。静かな所にひとり、身を落ちつけてみなさい。心が落ち着き、正しい判断が生まれる」
と教えておられます。
◆「お彼岸」はいのちに合掌の日
まもなく春のお彼岸がやってまいります。お中日(春分の日)をはさんで前三日、後三日の七日の間に日頃の慌しい日々をあらためて見つめ直し、心を見つめ直し、行いを見つめ直す大切な仏道修行の七日間(今年は3月18日から24日まで。中日は21日)がお彼岸なのです。
「春分の日」は「自然をたたえ生物をいつくしむ日」とされ、国民の祝日に定められています。当に「いのちに合掌」の日ですね。
彼岸というのは「彼方の岸」と書きます。つまり向う側の岸の事で、迷い、苦しみ、煩悩のない仏様の世界、浄土の世界です。その反対の岸が「此岸」といって「此方の岸」つまり悩み苦しみ、煩悩のつきない迷いの世界なのです。
◆仏さまの彼岸へ
この迷いや、苦しみの此岸から、安らかな迷いのない仏さまの彼岸に至るには次のような六つの心を具えた行い(六波羅蜜)が必要です。
一・ほどこす(布施)
見返りを期待することなく、分け隔てなく、心配りをすることです。
二・いましめる(持戒)
自らを慎むということです。
三・しのぶ(忍辱)
お釈迦さまの言葉に「忍ぶ事まさに橋の如くなるべし。橋は人に踏まれて人を渡せり」とあるように、踏みつける人を、じっとこらえて向う岸に渡らせる橋を見習って忍び耐えよと教えています。
四・つとめる(精進)
精進の精とは混じり気のないという意味ですから、純粋な心で一心につとめるということです。
五・こころしずかに(禅定)
ためらったり、戸惑うことなく、集中することです。
六・あきらかに(智慧)
明らかにする、つまり真実を見極めるということです。前の五つの心を具えた行いを実践すれば、正しい見方、考え方が自然に備わるとあります。
お釈迦さまはこの智慧をもって悟りを得られた、つまり彼岸に渡られたのです。その悟りの全てが説き明かされたのが、「妙法蓮華経」ですから、この「法華経」こそがお釈迦さまの心でありお悟りそのものであります。日蓮聖人はこれをはっきりと見極められ、末法の世の中においては「信を以って智慧に代えること」を明らかにされました。
さらに日蓮聖人は、法華経を信じ、南無妙法蓮華経とお唱えすることによって、自然と心の迷いがなくなって、その心が仏の御心と一つになるのであるから、六つの心を具えた行い(六波羅蜜)を修行し、またその他の全ての修行をしたと同じ功徳が与えられるとお示しです。
「一年の計は元旦にあり」といいますが、日々の生活を振り返り、心と行いを見直すのはお彼岸です。「心の計はお彼岸にあり」というのはいかがでしょうか?
さらなるお題目精進をお願い申し上げ、お彼岸の法話とさせていただきます。

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新年のご挨拶。

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