2014年3月10日
大雪が降った。町の中は
大雪が降った。町の中は眩しいほどに真っ白。翌日道路に出てみると、お医者さん、呉服屋さん、お坊さん、宝石屋さん、お寿司屋さん、皆がいつものユニフォームを脱いで、長靴を履き雪かきスコップを手に汗を流していた。慣れない作業に手間取りながらも、ご近所さん同士が助け合い、道路の端には雪がどんどん高く積まれていった▼大雪でまず困惑したのは車の運転だ。当たり前にあるはずの車線や停止線が雪に埋もれて見えないのだ。どこを走るの? どこで止まるの? ひやひやしながら車を走らせた。雪が多い地域では、停止線や車線の場所を示す道路標識があるらしいが、めったに雪が降らない私の地域にはそれがない。目印をなくした道路を運転する怖さといったらなかった▼そんな中、白杖を持った女性が目にとまった。歩道と車道の区別もつかない雪道を、雪から顔を出した点字ブロックだけを頼りに、迷うことなくゆっくりと歩いていった▼人は目印なしに前に進むことはできない。お釈迦さまそして日蓮聖人の言葉はまさに人生の道しるべ。しかし時として心の中にも嵐が吹き、大雪が降り積もり、道に迷ってしまうことがある。お経もご遺文も慈悲の心さえも雪に埋もれて見えなくなってしまう。でも決して焦らずに。雪かきするも良し、雪解けを待つも良し、そうこうしているうちに道はここだよと示してくれる仏さまの声が届くかもしれない。着実な一歩が春を呼ぶ。(蛙)