オピニオン

2014年1月10日

それぞれの「ものさし」

人は、いつから年末になると一年を振り返り、年が明けると今度は、今年の目標や展望を掲げるようになったのであろうか? 太陽暦を取り入れてからなのだろうかなどと思いを巡らす。
昨年の年末も、例年の通りさまざまな時事を振り返り、それに活躍した人、貢献した人たちの表彰が行われ、メディアを通して放映、報道されていた。
私の心に残る出来事は、ノーベル平和賞において、誰が受賞するのかという関心であった。パキスタンのマララ・ユスフザイさんは残念ながら賞は逃してしまったが、同賞にノミネートされたことが同じ女性としてとても感慨深く、嬉しかった。
2012年10月、当時15歳であった彼女は、女性が教育を受ける権利を訴えタリバン武装勢力によって頭と首を銃撃された。タリバンは、現在でも特に女性が通っている学校を狙って、テロを起こしている。奇跡的に助かった彼女は、その翌年2013年7月、16歳でニューヨークの国連本部での演説をしている。

「親愛なる少年少女の皆さん、私は誰にも抗議していません。 ここで話している目的は、すべての子どもたちに教育が与えられる権利を、はっきりと主張することにあります。すべての過激派、とりわけタリバンの息子や娘たちのために、教育が必要だと思うのです。
私は、自分を撃ったタリバン兵士さえも、憎んではいません。私が銃を手にして、彼が私の前に立ったとしても私は、彼を撃たないでしょう。
これは、私が預言者モハメッド、キリスト、ブッダから学んだ慈悲の心です。これは、M・ルーサー・キング、ネルソン・マンダラ、そしてムハンマド・アリー・ジンナーから受け継がれた変革という財産なのです。これは、私がガンディー、バシャ・カーン、マザー・テレサから学んだ非暴力という哲学なのです。
そして、私の父と母から学んだ〝許しの心〟です」

以上のように語り、最後に彼女は「ペンは剣より強し」ということわざをひいて、全世界に向けて人種の差別なく、すべての人が教育を受ける機会を得て、無学、貧困、テロリズムからの脱却を訴えた。
私は、彼女の言葉とともに、穏やかで崇高な眼差しに心を打たれた。同じ人間という生き物である私たちが、互いに「善いこと」をして、争いが起こるのはなぜだろうか。これは、「ものさし」がそれぞれに違うからである。主体的に「善いこと」を信じれば、または主張するほどいたるところで戦争が起きている。
日蓮聖人が『立正安国論』に示されたとおり三世間における世界の平和を救済と説く法華経には、この世界共通の「ものさし」が、釈尊の真理として示されているのではないだろうか。他の者が幸せになることが自分の幸せと受け取る感性を、「ものさし」として持とうと、私は今年も掲げたい。 (論説委員・早﨑淳晃)

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