鬼面仏心

2013年11月20日号

寒さが急に襲ってきた。

寒さが急に襲ってきた。今季の予報では寒さの厳しい冬になるという。一ヵ月前のことだ。電車で向かいに座っていた男性が半袖のポロシャツを着ていた。寒そうだと思って眺めていると、コートを羽織った女性が乗車してきた。季節感のちぐはぐに面白さを感じながら降車駅を待つと、今度は車内アナウンスで「送風している」という。寒暖の感じ方は生まれ育った土地や環境にも影響されるのだろうか。「所変われば品変わる」で、一概に寒い暖かいとは言えないが、なんとも違和感を持つ一コマであった▼諸外国では生活と宗教が深く結びついている。日本でも同様にいえるのだが、これも「所変われば…」で、大きな違いはその行為や言葉、生活の源流が宗教にあるということを知っているか否かである。例えば歯磨き。釈尊は木の枝で歯を磨かれたと伝えられ、口腔を清浄にすることの功徳を説かれている。歯を磨くことは、信仰の上からも重要な行為だったと言える。また玄関で履き物をそろえること。これは禅家の教え「脚下照顧」からきている。礼儀を日常化する行為ではあるが、その大もとは仏教なのである▼身近であるが故に知らない言葉や生活の源流、忘れてしまっている身近な事項。寒い日々が続くこれからであるから暖かいこたつなどに入りながら、自分の生活の些細なことに目を向けるのも良いのではないだろうか。(奏)

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2013年11月10日号

「子供に迷惑をかけたくない」

「子供に迷惑をかけたくない」よく耳にする言葉だ。他人事だと思っていたが、例に洩れず私も聞いてしまった。母と友人の会話を。「老後はできるだけあの子達の負担にならないように…」なんて水くさい! 私が老後のお世話を負担に思っているとでも?  自分をあてにされていない寂しさと同時に、母にそんな言葉を言わせてしまう自分が情けなかった。考えてみれば、そう言わせるだけの態度をとってきたのは私だ。病院の送り迎え、面倒な顔をした時もあった。頼まれた用事を後回しにして忘れてしまうことも。それでも私に甘えて欲しいと思うのは子どもの身勝手なのかもしれない▼老後だけではない。世間では「子どもの負担にならないように永代供養にしたい」という話もよく聞く。金銭的なこともあるが、煩わしい思いをさせたくないということらしい。子を思う親心? 果たしてそうだろうか。第一、親の供養が〝負担〟で〝煩わしい〟ことであるなら、その方が今までしてきたご先祖様の供養も
〝負担〟でしかなかったのか? それではあまりに悲しすぎる▼両親の50回忌をされたお施主さんが言った。「親の50回忌ができるまで寿命を頂けた、有り難いことです」晴れやかな笑顔だった▼どうか私達子供に親孝行をさせてほしい。今現在、老後、そして亡くなった後も。不器用ながらもその恩に報いたいと思っている子供は多いのだ。(蛙)

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2013年11月1日号

東日本大震災発生から丸一日

東日本大震災発生から丸一日、テレビ・ラジオ放送は、特別編成になっていった。そのなかで主に音楽を配信するFM放送局は、ラジオで流すニュースの限界を感じていた。そこで被災地に届けたい音楽を募集した。すると意外な曲が浮上してきた。「アンパンマンのマーチ」である▼「生きることをうれしさやよろこびとし、それがたとえ胸のきずがいたんでても」という内容で、不安に怯える子どもたちを勇気付けるために、この曲を流し続けた。作詞者は、アンパンマンの産みの親、漫画家のやなせたかしさんである。そのやなせさんが、10月13日94歳で亡くなった。奇しくも日蓮聖人のご命日である▼アンパンマンのテーマは「正義とは何か」である。彼こそは、弱っている人に自分の顔を食べさせて、ヨレヨレになる世界最弱のヒーローなのだ。子どもたちに、痛みなくしては人を救えないことや、敵役のばいきんまんを登場させて、現実社会の厳しさも教えている▼日蓮聖人の願いは「正しい教え(法華経)を如何に弘めていくのか」に尽きる。宗祖はそのために数々の法難に遭った。今年は東条景信に襲撃された小松原法難から750年の聖年でもある。今日、お題目を唱える我々は何をしなければならないのだろう。「私たちは何のために生まれ、何をして生きるのか」とアンパンマンの歌が、我々を叱咤激励しているように聞こえる。(雅)

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