2013年11月10日号
檀信徒リーダー研修開催
宗務院主催の檀信徒青年リーダー研修(田端義宏主任)が11月2日から4日まで、山梨県身延山の信徒研修道場で開催された。法華経・お題目を弘める次世代の檀信徒リーダーとなるために、韓国・マレーシア・アメリカなど海外から20人、国内から6人が日蓮聖人のみ魂棲まう身延山を登詣した。
御廟所にある常唱殿での開講式後、オリエンテーションが行われ、参加者には講義の準備を行う信行班、食事の用意をする食堂班などグループ単位での役割が与えられた。参加者は互いを仏さまとして給仕し合う精神を持ち、自らの修行として研修を進めていく形式に不安の顔をのぞかせたが、田端主任の講義で、「自分のなかに眠っている仏の心を呼びさます」という目標を聞くと、期待の表情に変わった。
副主任の浜島典彦身延山大学長が日蓮聖人が法華経弘通のリーダーとして立ち上がられた時代背景などを説明し、現代に必要な指導者像は「他のために菩薩行を行える人」と述べた。初日には、自己紹介で世界のお題目仲間と出会えた喜びを伝え合い、また財産や富の仏教的解釈や法華経の内容までと幅広い話があった。一日目の最後は唱題行で締めくくられ、午後10時半までのぎっしりとつまったカリキュラムを終えた。
2日目は総本山身延山久遠寺(内野日総法主)の朝勤に参列した。荘厳な雰囲気にシンガポール題目寺のリャオ・ツー・ミンさん(27)は「本堂までの急な坂を上がりヘトヘトだった心と体が、法要で洗われ一つの目的を達成した気分になれた」とご尊像に合掌した。
午前中は御廟所と道場の清掃、講義を修め、身延山境内の坊めぐりへ。樋澤坊など6ヵ寺に参拝し、ご朱印をいただいた。
続いて身延山大学へ通う修行僧を交えての討論会が開かれ、世界で起きている信仰離れの問題や、求められる僧侶像、檀家制度がない海外寺院での信徒獲得への活動などの報告や意見が交わされた。日本からの参加者が「住職が地域社会に出て、努力しても檀信徒の獲得は難しい現状がある。どうすればいいのか」と話の火蓋を切ると、「多くの人を教化するのではなく、日蓮聖人のように一人ひとりの篤信者を育てるべき」(アメリカ)、「僧侶のカウンセリングスキルの必要性」(イギリス)、「仏教への興味を持ってもらうため、流行に合わせ社会へのアプローチを行っている」(マレーシア)、「新興宗教の信徒へのケア」(韓国)、「日本語教室など、若い人に人気のある講座の開設」(インドネシア)などと活気ある海外寺院の姿や意見を語った。
田端主任は「海外寺院の特徴は、住職が来いといわずとも信徒が自発的に集まり、みんなでお茶を飲んだり、踊ったりするコミュニティーの場として活用している。〝お寺は坊さんのものではなく、私たちのもの〟という意識が強く、信徒が自分たちで行動しようとする」と日本の寺院と比較し、地域への貢献や祖願達成には僧侶ではなく、檀信徒やそのリーダーが主役だと、参加者に期待した。
参加者たちは3日目も修行を行い、無事に研修を終了した。また翌日に企画されたオプションの小松原法難750年を迎える千葉県鴨川市の本山鏡忍寺や大本山誕生寺などへの団体参拝にも参加した。