2013年11月1日
東日本大震災発生から丸一日
東日本大震災発生から丸一日、テレビ・ラジオ放送は、特別編成になっていった。そのなかで主に音楽を配信するFM放送局は、ラジオで流すニュースの限界を感じていた。そこで被災地に届けたい音楽を募集した。すると意外な曲が浮上してきた。「アンパンマンのマーチ」である▼「生きることをうれしさやよろこびとし、それがたとえ胸のきずがいたんでても」という内容で、不安に怯える子どもたちを勇気付けるために、この曲を流し続けた。作詞者は、アンパンマンの産みの親、漫画家のやなせたかしさんである。そのやなせさんが、10月13日94歳で亡くなった。奇しくも日蓮聖人のご命日である▼アンパンマンのテーマは「正義とは何か」である。彼こそは、弱っている人に自分の顔を食べさせて、ヨレヨレになる世界最弱のヒーローなのだ。子どもたちに、痛みなくしては人を救えないことや、敵役のばいきんまんを登場させて、現実社会の厳しさも教えている▼日蓮聖人の願いは「正しい教え(法華経)を如何に弘めていくのか」に尽きる。宗祖はそのために数々の法難に遭った。今年は東条景信に襲撃された小松原法難から750年の聖年でもある。今日、お題目を唱える我々は何をしなければならないのだろう。「私たちは何のために生まれ、何をして生きるのか」とアンパンマンの歌が、我々を叱咤激励しているように聞こえる。(雅)