オピニオン
2013年11月1日
最後の仕事
高齢期になり、人生の最期を「自宅で迎えたい」と考えている人は多い。しかし、現実は8割以上の人が病院で死を迎えることとなります。多くの高齢者は、病院のなかで管につながれ、生活が管理され、したいこともできずに、最後の日々を送るのを余儀なくされています。そんな日常性が遮断された病院生活のなかで幻覚や妄想にさいなまれて、かけがえのない人生の最期を迎えることはとても辛いことです。
最後にできる高齢者の仕事は、その人生を見事に演じきった、その姿を後を行く人に伝えることではないでしょうか。自宅で子供や孫たちに囲まれ、できればお仏壇の前で、お題目信仰で臨終正念を遂げる、その姿こそ子や孫への最大の教化になるのではないでしょうか。そのためには在宅で最期を迎える強い意志と家族の協力、医療・介護のお手伝いも必要になります。そして、事前指示書の作成という準備も必要です。
(三重県布教師会長・冨田 啓暢)