日蓮宗新聞

2013年10月20日号

     法華経に示された      地涌の菩薩の一人として

日蓮宗の月例金曜講話
10月4日「月例金曜講話」から要旨摘録
up用私の家は熱心に法華経を信仰していました。その縁で私は小学5年生のときに得度し、お寺で修行を始めました。母に置いて行かれた時は、気持ちの整理もつかず、寂しくて毎晩布団の中で泣いたものです。そんなとき師匠から「自分を信じ、みんなを信じ決して疑いの心を起こしてはならないよ」と教えてもらいました。
私たちが拝読します『法華経譬喩品第三』で、仏さまが私たちに教えを導いても、それを信じ受けとめようとしない姿が説かれています。では「信じる」とは何でしょうか?
日蓮聖人は疑うということは、根本的な迷いであり、反対に信じることは、迷い・煩悩を破る仏智になるとご指南されています。わかりやすく言うと、日蓮聖人は「信心」のみによって仏さまになれると教えてくださっているのです。信心をもって本と為す「信心為本」ということなのです。
例えば、こんな話があります。昔、飛脚の親子がいました。父親の飛脚は、江戸と京都の往復を息子より一日早く着くことができました。息子がなぜ一日早く着けるのか聞いたところ「街道に七色に輝くきれいな石がある。その石を心に思って踏まないように歩くと早く着くことができる」と答えました。息子は父親の言った七色に輝く石を一心に思い、ひたすら街道を行きますと、なんと一日早く着くことができたのです。その実態のない七色に輝く石を信じ思うことは、お題目を信じることに重なるのです。法華経という教えは仏さまの一番深い教えです。そして「絶対なるもの」「正しいもの」を信じていれば仏になれるということを日蓮聖人はお教えくださいました。絶対なるものとは仏さまのこと、法華経の心・仏さまの心です。仏さまを信じて生きるとは、お題目を唱えることなのです。
それでは、なぜお題目を唱えるのでしょうか?
生活する上で、私たちには毎日、難問題が起こります。それらの試練を乗り越えていく力をいただくために唱題行をするのです。
お題目によって命が磨かれ、お釈迦さまを本仏として、大導師の日蓮聖人をいただく。日蓮聖人がいらっしゃらなければ、どのように修行をすればいいのかわかりませんでした。日蓮聖人が地涌の菩薩としてあらわれたことで、お題目を唱えることを教えてもらったのです。
私の寺の檀家さんで白内障を患ったMさんがいます。だんだんと目が見えなくなる病気で、今ではすっかり見えなくなってしまいました。目が見えなくなる前、Mさんの娘さんは、夜な夜な友達と遊んでいました。ある時、娘さんが大事故に遭い瀕死の状態となってしまいました。Mさんは来る日も来る日も看病を続けました。幸いにも回復した娘さんは、そんな母の姿に心を改め「お母さんに迷惑かけないように頑張るから許してね」と謝ったのです。その後、Mさんの白内障は進行し、目が見えなくなってしまい、今度は自分の生活が荒れてしまいました。
私はそのとき「お題目は心を磨くもとになるとお祖師さまが申されています。このお題目を信じて生きる。心の目を開くことが大事、きっとできますよ」と祈る気持ちでお伝えしました。Mさんもお題目にすがるしかないと思い、一生懸命唱えました。すると、かつて横道にそれていた娘さんの姿は今の自分の姿だと思ったそうです。Mさんは自暴自棄になっていた自らを深く懺悔し、これからは縁ある人たちとともにみ仏のもとで生きていきたいと誓われました。Mさんの家の仏壇はいつもピカピカです。目が見えなくても心の目があるからです。今は娘さ
んが目になってくれていると語るMさんの姿に、私は地涌の菩薩そのものだと感じています。地涌の菩薩として日蓮聖人は諸々の闇を滅する
光明を投げかけてくれました。私たちは日蓮聖人を手本として、法華経への強い信心をもって不安な社会を生き抜き、地涌の菩薩の一人として精進してまいりましょう。

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今年の1月13日の御年頭会の日も晴天にめぐまれました。

日蓮聖人の新年初の月命日はいつも晴れます。

みなさま今年もお元気でがんばっていきましょう!

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