論説

2013年10月10日

女性僧侶の活躍で日蓮宗は変わる

「天を支える半分は女性」という言葉があります。しかし「天下」となると男性優位が現状でしょう。政界・企業・官僚などどの社会も同様です。これは日蓮宗の組織も変わりません。
ところが少子高齢化が進み、経済も低成長期になった今、女性が活躍する多様性のある社会でなければ発展しない上、健全ではないと認識され始めています。日蓮宗においても僧侶資格を得る男性の信行道場修了僧が今年、初めて100人を割っています。これに対し女性僧侶(女性教師、尼僧とも称します)の修了者に大きな変動はありません。これだけ見ても女性僧侶の活躍が期待される要素があります。
男性優位は家父長制という、古代からの家族制度の名残りと思われます。これは家長が家族に持つ支配権で、生命・財産までも支配した初期ローマ法などが知られています。高度成長期には「夫は外で働き、妻は家庭を守る」という男女の役割分担もできました。主婦は財布を握り、家庭でこそ地位が高くなりましたが、就業率は下がりました。
しかし世界的動向を見ると、国連の「国際婦人年」が企画されたように、男女同権の意識が高まり、働く女性は世界中に10億人。消費動向の64㌫、高等教育の47㌫は女性です。経済の活性化のためにという観点から、管理職もアメリカは43㌫、独仏は38㌫。日本はわずか11㌫です。アジアでもシンガポールは31㌫に達しています。
日本でも男女共同参画社会基本法や、男女雇用機会均等法が成立し、たまたま東京オリンピック開催の決まった2020年までに女性管理職30㌫以上を掲げていますが、まだまだ努力目標のようです。ある調査では男女平等度は135ヵ国中、101位とお寒い限りです。男女の差は精神分析の創始者フロイトによると、「生理学的相違を除くと、差はない」とされており、体力的差など僅かしか考えられません。女性の有業率が高い国は、出生率も高く財政も良いというデータがあります。現に日本で一番幸福度の高い福井県は共働きが多く、高出生率です。
日蓮宗の現状はどうでしょうか。女性僧侶は全国に約千人登録され、僧侶全体の11・6㌫を占めます。在家ですが寺院の婦人や檀信徒中にも、有能な女性は大勢います。しかし宗門の役職に就いている方は、数人しかいません。この原因は、①宗門組織に女性登用、共同参画の意識が低い。②住職夫人など寺庭婦人を兼任している方も多く、多忙なため役に就けない。③檀信徒側からも女性僧侶を低く見る傾向があり、裏方に回ってしまう等です。歴史上、女人不成仏説による軽視もありました。しかし法華経こそ女人成仏の手本であり、しかも男子と成ってから成仏する(変成男子)説を否定し、女性のままの成仏を日蓮聖人はお示しになっています。
宗門活性化のため女性僧侶を登用し、その役割を強めるには特性を生かせる分野の開発と、機構上の仕組みが必要と思われます。その分野とは、①地域未信徒教化(女性の多いPTA等で接触し易い)。②育児支援。③介護支援。④傾聴。⑤相談窓口。このような点が考えられます。
また仕組みとは、男女平等実現までの時限的措置として考えられた「クオータ制」を導入すべきだと思います。これは目的実現まで、一定の比率で人員を割り当てる制度です。議員など政治での性差クオータ制は、90ヵ国以上で採用され、フランスでは憲法で半数を義務付けているほどです。機会と経験を積む場所を、先ず作る必要があるでしょう。
(論説委員・山口裕光)

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