2013年10月10日
日本の文化としては雅楽や
日本の文化としては雅楽や伝統芸能の分野、生活様式の分野、また茶道、華道、書道などもあり、さらには精神文化としてのものもある▼先日、北海道の温泉施設でニュージーランドの先住民族マリオの言語指導者の女性が、顔の入れ墨を理由に入館を断られたという。その女性の唇とあごの入れ墨は、「タ・モコ」と呼ばれる母親や先祖を表す家紋のようなもので、社会的地位なども示す伝統的なもの。いわば民族の尊厳の象徴であり、日本でいう反社会的な入れ墨とは違う。温泉施設側では「入れ墨に威圧感や恐怖を覚える人がいる」というのがその理由である▼江戸時代では入れ墨は「刑罰」として使われていた。前科のしるしとして額や腕に入れられ、前科者と呼ばれていた。また「がまん」ともいわれ任侠のやくざ者が粋で入れてもいた。ゆえに日本では、入れ墨は反社会的なものとして認識されてきた。公衆浴場などで「入れ墨お断わり」という注意書きを見るのはそのことによる▼最近の入れ墨は「タトウ」と呼ばれ若い人や、スポーツ選手にも入れているひとが目立つ。2020年の東京オリンピックに向けて外国人も増え、必然的に入れ墨を文化としている民族も多数来日してこよう。入れ墨ばかりではなく、さまざまな異文化をもつ人たちを、どう受け入れるかが課題である▼「みんな違って、みんないい」(金子みすず)改めて心に刻もう。 (汲)