オピニオン
2013年10月10日
三人の旅人
東南アジアのある国の童話でこのような話があるそうです。
ある満月の夜、三人の旅人が峠の上に座って月を見ていました。一人の男は、月を観て両手いっぱいの金色に輝く黄金が欲しいと思いました。
隣に座った男は、月を観て搗(つ)き立ての餅の二つか三つでも食べたいなぁ、と思いました。
もう一人の男は、月を観て、故郷にいる愛しい人は無事であるだろうかと思いました。
同じ月を見て別々のことを思う、人の心の不思議さよ…。
人の心とは面白いもの。そのありようによって違うものに見えてくるというのは、私たちも経験することです。正しくものを見るということは、この心のありようにかかっています。くれぐれも執着する心によって正しきもの、本当のものを見失わないようにしたいものです。
(尾張布教師会長・三大寺聡温)