書評

2013年9月1日

「法華経」ってそういうことだったんだ。

 宗教学者で立正大学、慶應義塾大学非常勤講師の正木晃氏の法華経の新現代語訳、『法華経ってそういうことだったんだ。』(三一書房)が刊行された。正木氏の専門は日本密教とチベット密教だが、しばしば日蓮宗の研修などで現代に即応した法華経や日蓮聖人の教義の解釈を語り、僧侶檀信徒に影響を与えている。確かに講演を聞くと正木氏の第三者的な視点からご遺文を捉える言葉には説得力があり、時には日蓮宗徒が目指さなければならないことをはっきりとした口調で言い切るのは清々しいものがある。本書にはそういった正木氏の性格が顔をのぞかせている。
構成は法華経の中から日蓮宗でよく読まれるお経(「序品」「方便品」「提婆達多品」「如来寿量品」など)の現代語訳と解説、また法華経の成立から日本での歴史、さらに近代の信仰者についてまで、わかりやすい説明がされている。訳については難解な語も一般に読んで伝わる言葉に置き換えられているため、わざわざ注釈などを見なくて済むように工夫されている。さらには一度出てきた難しい語も再度わかりやすく説明されているため、「この語はどういう意味だったか」と前のページに戻って探す必要もなく親切だ。
さて読み進めていくと、序品の訳文は何かすごく大きなことが始まるのではないかと思わせる、まるでオペラの序曲のような感覚を覚える。その理由は難解な語に邪魔されることないことと、戯曲のシナリオのようにテンポがいいからであろう。あっという間に序品を始め、一冊を読み終えてしまった。
解説では「提婆達多品」の女人成仏の記述についての解釈が素晴らしい。古来、法華経以外の仏教経典では女性が成仏するとは説かれていない。法華経でもあくまで「男となってから如来になった」と解釈するのが通説となっていた。しかし、正木氏をはじめ最近の研究者はそれに異を唱える。日蓮聖人はご遺文に「女性のまま成仏した」と書かれているため、それを論証するのだ。全く納得のいく話である。
(定価1995円)

side-niceshot-ttl

写真 2023-01-13 9 02 09

新年のご挨拶。

過去の写真を見る

全国の通信記事

  • 北海道教区
  • 東北教区
  • 北陸教区
  • 北関東教区
  • 北関東教区
  • 千葉教区
  • 京浜教区
  • 山静教区
  • 中部教区
  • 近畿教区
  • 中四国教区
  • 九州教区

ご覧になりたい
教区をクリック
してください

side-report-area01 side-report-area02 side-report-area03 side-report-area04 side-report-area05 side-report-area06 side-report-area07 side-report-area08 side-report-area09 side-report-area10 side-report-area11_off side-report-area12
ひとくち説法
論説
鬼面仏心
購読案内

信行品揃ってます!

日蓮宗新聞社の
ウェブショップ

ウェブショップ
">天野喜孝作 法華経画 グッズショップ
">取扱品目録
日蓮宗のお店のご案内
">電子版日蓮宗新聞試読のご登録
">電子版日蓮宗新聞のご登録
日蓮宗新聞・教誌「正法」電子書籍 試読・購入はこちら

2014年

2013年

2012年

書籍の取り扱い

前へ 次へ
  • 名句で読む「立正安国論」

    中尾堯著
    日蓮宗新聞社
    定価 1,365円

  • 日蓮聖人―その生涯と教え―

    日蓮宗新聞社編
    日蓮宗新聞社
    定価 826円+税

書評
正法
side-bnr07
side-bnr07