2013年9月1日号
立正平和の精神を世界へ
68回目の終戦記念日を迎えた8月15日、日蓮宗は「千鳥ヶ淵戦没者追善供養並世界立正平和祈願法要」を、東京・千代田区の千鳥ヶ淵戦没者墓苑で営んだ。この法要は昭和34年に同墓苑が創建されて以来毎年、日蓮宗が行なっている法要で、今年が55回目。戦没者の遺骨が納められている六角堂内に大曼荼羅ご本尊を奉安し、池上幸保全国日蓮宗檀信徒協議会会長をはじめ法華一乗会の武見敬三氏、佐藤ゆかり氏、参議院議員の小野次郎氏ら檀信徒約4百人が参列し、戦没者への慰霊と平和への祈りを捧げた。
今年は、大導師を渡邊照敏日蓮宗宗務総長、副導師を東京四管区宗務所の田村宏順所長(東部)、矢嶋泰淳所長(西部)、石井隆康所長(南部)、望月兼雄所長(北部)が務めた。修法導師は吉塚誠滋東京南部修法師会長が務め、式衆に東京四管区の声明師会、修法師会、行脚隊に青年会の各師が出仕。六角堂の中央に安置された陶棺に向かい声明、読経、修法を行い、表白文で戦没者諸精霊に追悼の意を表すとともに、世界平和を祈念した。参列者全員による焼香では、それぞれが尊い命を犠牲にした戦没者の冥福を祈るとともに、二度と戦争が起こらぬよう祈りを込めて合掌した。
法要終了後、(財)千鳥ヶ淵戦没者墓苑奉仕会の若松重英理事長が挨拶に立ち、同墓苑創設以来続く日蓮宗の法要に対し謝辞を述べ、遺骨収集事業の現状を報告した。同墓苑に納められている遺骨は、軍人、軍属のみならず海外で犠牲となった一般邦人も含まる。いずれも遺族に引き渡すことのできなかったもので、今年収集された遺骨が加わり総数は35万8260柱となった。
最後に日蓮宗を代表して齊藤憲一伝道局長が参列者に謝辞。日蓮宗では「いのちに合掌」をスローガンに『立正安国論』で日蓮聖人が示した立正平和の精神を世界に弘め、いのちの大切さを説き示す「立正安国・お題目結縁運動」を提唱中であることを報告。この法要を介して、生きとし生けるものすべての「いのちに合掌」する姿が築かれることを願った。