オピニオン
2013年8月20日
臨終正念
「病によりて道心は起こり候か」病気になった時に、はじめて本当の自分の求めることが何か見えてくるという。「あるだけで有難いね」治ればもちろん有難いけれど、普段有難いと思わなかったことまでもが有難く思えるようになる。お釈迦さまは「あなたがここに生まれてきたのは、苦しくて、辛くて、思いがけないことばかりの多い娑婆で修行をするために自分で望んで生まれてきたんだよ。そこが娑婆の修行の尊いところだよ。いいことばかりあるのなら極楽でいいんですよ。娑婆であるがゆえに生老病死の苦しみ、矛盾の中でいかに私たちが功徳を積むことができるか。その為にあなたはここを選んで、望んで生まれてきたんだよ」と言い、これを感じた時こそ、実はこの世界こそが、お釈迦さまが見守って下さっている所であり、なおかつ、この娑婆といわれる所がお釈迦さまのおいでになる浄土であると受けとることができるのです。(故平野譲山上人説教から)
静岡県中部布教師会長 塚本智秀