オピニオン

2013年7月1日

「日本国憲法」第96条(改正手続要件)について

国の最高法規である「日本国憲法」の、改正要件を定めている「第96条」改正問題について、参議院選挙を間近にひかえ、争点の重要ポイントになるとも予測もされ、難しい問題ですが、あえて一文を記します。
■第9章 改正
「第96条 この憲法の改正は、各議院の総議員の3分の2以上の賛成で、国会が、これを発議し、国民に提案してその承認を経なければならない。この承認には、特別の国民投票又は国会の定める選挙の際行はれる投票において、その過半数の賛成を必要とする。」
つまり憲法を改定したい場合、先ず①衆議院と参議院で、総議員の(出席議員でなく)3分の2以上の賛成で発議をし、国民に提案をする。(この段階では決定ではない。提案です)
次に②、国民投票で過半数の賛成を得て、はじめて承認されます。
■この96条に対して
①憲法は普通の法律と違い、「国の最高法規」であるから、改定のハードルが高いのは当然とする意見。
②いや、外国とくらべても「世界一厳しく」時代の変化もありハードルを下げて改定すべきとする意見等々がかわされています。
特に「第2章 戦争の放棄」「第9条 日本国民は、正義と秩序を基調とする国際平和を誠実に希求し、国権の発動たる戦争と、武力による威嚇又は武力の行使は、国際紛争を解決する手段としては、永久にこれを放棄する。
②前項の目的を達成するため、陸海空軍その他の戦力は、これを保持しない。国の交戦権は、これを認めない。」
をめぐって、時代遅れ、現状にあわない早急に改定すべきとするいわゆる「改憲派」と、いや、世界に先がけた平和主義を根幹とするこの条文を変えるべきではないとするいわゆる「護憲派」が対立し、図式化していえば、①「護憲派」は96条改定反対、96条は今のままでハードルは高くしておくべき、②「改憲派」は96条改定賛成、改定のハードルを3分の2から2分の1の過半数に下げるべきと主張している。
憲法の中身についても例えば、「9条」の問題については、いつまでも「自衛隊」で「軍隊」は持てないのか。集団的自衛権(密接な関係にある他国が受ける攻撃を自国への攻撃と見なして防衛にあたる権利)の行使を禁じているとの解釈を改め、容認に向けて改定すべきではないか。「前文」のいわゆる「平和主義」の問題、また「基本的人権」の問題等々の議論がかわされる中で、96条の改正条項があらためて問われ直されてきています。
では未来の憲法はどうあるべきか、96条改定という憲法改定の手続き問題も含めて、もっともっと議論を盛んにしていくことが、今もっとも大切なのではないでしょうか。
新しい問題では、「プライバシー権」を守るための条文や、「環境権」を守るための条文を憲法に加えるべきという声も高まっています。
日本国憲法は、昭和21年11月3日に公布され、昭和22年5月3日に施行されました。以来満66年になります。その間、事実として一度も改定されていません。時代に合うかたちで憲法を見直すべきという声も大きくなってきた感があります。内容の検討をタブーとするのではなく、みんなで議論を深めあうことが今、もっとも大切なことではないでしょうか。

(論説委員・星光喩)

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