2013年6月10日
日本は資源のない国
日本は資源のない国と言われている。が、ここに来て「都市鉱山」という言葉を見聞きするようになった。携帯電話、ゲーム機、家電製品の部品に使われている金や白金、レアメタルなどの有用金属がそれだ。その眠っている資源は金ならば7千トンで、世界一の埋蔵量を誇る南アフリカの6千トンを超える規模だ。使用済み機器から毎年取り出される価値は総額844億円という(「『都市鉱山』開発」日刊工業新聞社)から驚きである▼民芸運動を起こした柳宗悦氏は、生活に即した民芸品に注目して「用の美」を唱えた。本来使われるべくして作られたものは、使われてこそ美しいという。美術館に展示されている楽茶碗や高麗茶碗、水差しなども、美術館にあるよりも茶室にあって使われているときほど存在感を示し、その輝きを増して見せる▼望まれる上司の条件に部下の長所を見つけて、伸ばしてくれることが上げられる。次の世代を担う有能な若者が自分の潜在能力に気付かず、眠ったままにいはしないか。力を伸ばし切れていないか。機会を与え時には厳しく時には寛容に見守り、導いていかねばなるまい▼檀信徒にも協力して戴こう。「うちのお上人はこんなことが出来ます」と知らせてほしいのである。貴重な有用金属たる若い僧侶を知らずに眠らせていてはあまりにももったいない。(汲)