2013年6月1日
2人の孫がお世話に
2人の孫がお世話になっている私立小学校で、開校以来「三方よし」を教育のメーンテーマに掲げている▼「三方よし」とは近江商人の「売り手よし、買い手よし、世間よし」が源になっていて、現代では「自分よし、相手よし、みんなよし」と表現される。この学校ではいつも周りの人たちのことを考えるように児童を指導している。昨今の少子化で1学年50人ほどしかいないが、1年生から6年生までが家族のように助け合い、支え合っている様子が微笑ましい▼この学校を卒業した子供たちはさぞ世間に好かれているのだろうと思うのだが、驚くべき報告があった。某国立大学附属中学校に進学した卒業生が「三方よし」を実践しようとして陰湿ないじめにあっていた。小学校で児童会長まで務めた彼は、持ち前の正義感と勇気あふれる男子生徒だ。それがことごとくいじめの対象になった。その中学校では勉強に励むことが最優先事項なのだ▼近江商人は、得た利益で橋を架け学校を建設したという。周りの人たちが幸せになれば、自分もまた儲けさせてもらえる。世界全体が幸せにならなければ個人の幸福はないと宮沢賢治は言った。自分一人だけの幸福などあり得ない。残念なことに殆どの教育現場では他人のために努力するという価値観も、世間に好かれる人間になるための方法も教えない。僧侶にできる仕事は多い。(寮)