オピニオン

2013年5月10日

リーダーシップとは?母性と父性から考える

昨今の北朝鮮ミサイル問題は、日本や韓国周辺のアジアの国民を不安に陥れ、その安全保障は危機に面している。私たち日本人は、当たり前の平和を信じ、その平和の中で戦後を生きてきた。しかし、その期間が長かったためか、それが揺らいできていることに対して鈍感になってしまってきている。上野動物園のパンダの妊娠兆候で、さらりとニュースの一面が書き換えられる平和な国、それが今の日本である。
どの時代においても、リーダーという存在が、人びとをどこに、どのように導いていくかを決定する。今、世界を不安に陥れている一人のリーダーは、金日成を祖父に、金正日を父に持ち、若くして一国の第一書記に就任した。そしてまもなく、国の(権)力を、祖父と父が示したように、軍事的武力というものを見せつけることで、威厳を保とうとしている。この新たなリーダーが暴走を始めた。
リーダーシップとは、組織や集まりの中で発揮されるパーソナリティーのことである。では、私たちが求める理想のリーダーシップとは、何であるのかを考えてみた。私は、その条件として、「寛容的な」という母性的なリーダーシップと「規範的な」という父性的なリーダーシップが共存して発揮されることが望ましいと考える。このことは私の専門とする幼児教育の中にも、とても大切な領域として捉えられている。人が人を育てていくなかで、養育者は第一番目に寛容で慈悲にあふれた受容によるパーソナリティーで、安らぎと信頼を与え、次に広く社会に目を向け、規範的な指導を行うことによって自分の欲動を制御し、うまく道筋をつけ外へと向かう認識と意思の力を育む。こうして人は望ましい方向へと育っていくのだ。
母性と父性は異性であり、一人の人間にその両方とも備わっていると考えられているが、その使い方には順序があるということを、医学博士佐々木正美氏も『子どもへのまなざし』に著している。このことからも、母性と父性をバランスよく持ち合せることが大事なことで、そのようなリーダーシップが発揮できるということは、その人格のみならず、受ける側の影響に大きな成果をもたらすことと考えられる。
5月。日蓮聖人は、そろそろ『立正安国論』を撰述し始めた頃である。7月16日に国家に対して諫暁(かんぎょう 目上の者に過ちをいさめるように直言すること)をなしたこの御書からもその行動からも、仏教の中の法華経の教えを通して真の救済を明らかにし、現世において個人でなく全ての人々、一国でなく全世界が救済され幸せになることを示した。この日蓮聖人のリーダーシップは母性によるものである。そして、謗法を毅然と示し、具体的な正法をもって導いていくリーダーシップは父性によるものである。
そんなことから暴走するリーダーになにが欠けているかが判じられよう。母性と父性、その両方のリーダーシップを持つこと、そしてそれによって正しいリーダーシップが発揮されるのである。そんな大切なことを父や祖父から教わることができなかったであろう不幸なリーダーを思うと、幼児教育の重みと責任を改めて痛感する。そして一人でも多くの人が立正安国という視点と、その実現に向かおうとする行動力に目覚めてほしいと祈るのである。
(論説委員・早﨑淳晃)

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