オピニオン

2013年3月1日

「体罰」と指導の在り方

大阪市立桜宮高校バスケットボール部の2年男子生徒(17)が自殺した問題で、暴力を振るった同部顧問の小林基教諭(47)が懲戒免職処分となった。
「市外部観察チーム」の「桜宮高報告書」の要旨が公表されたが、いわゆる「体罰問題」の根源、原点が把握でき、問題を考える上での貴重な資料としても重要である。(以下・要旨)
「桜宮高報告書」
【認定事実】
顧問は練習試合の合間や後に、男子生徒の顔を平手で数回たたいた。「たたかれてやるのは動物と一緒や」とも言った。
【暴力に対する評価】
男子生徒の部活ノートや母親の供述から、平手とはいえ、相当な力が加えられていたことがうかがわれる。人前で躊躇せず暴力を加えていることを考えれば、生徒への暴力に対する顧問の規範意識は乏しいと言わざるを得ない。正当化する余地は皆無だ。
【自殺との関連性】
男子生徒への暴力は強度かつ執拗。練習ノートや顧問宛ての手紙の記載内容から、繰り返し叱責されるとともに理不尽な暴力を加えられることで深く苦悩していたのは明らか。主将交代の話をたびたびされるようになったことも、自殺に追い詰めた背景になっていると考えられる。
【顧問の暴力傾向】
顧問は生徒に対する暴力を指導の一環であると位置付け、恒常的に平手打ち・足蹴り・物を投げつけるなどの暴力を、時には相当強くかつ執拗に行っていた事実が認められる。
【結語】
顧問には顕著な暴力傾向が認められる。教育者としての責任は極めて重く、厳重な処分が必要である。(新聞報道)
(1)スポーツの指導者が選手に暴力をふるう「体罰」とは、
①殴る・蹴るなどの身体に対する侵害。
②長時間の正座や直立など肉体的苦痛を与えること。(文部科学省の通知)
学校教育法第11条は、もちろん校長や教員は「体罰を加えることはできない」と明確に禁止している。
(2)監督は「強くするには体罰も必要」「選手に頑張ってほしいという気持ちから」と弁明していたが、柔道の女子選手15人が日本代表監督から暴力を受けていたと日本オリンピック委員会に訴えて受理され、監督が辞任した。(根本の問題はもちろんそれで一件落着ではないが)
(3)プロ野球・巨人の投手だった桑田真澄さんは「暴力では決して選手はうまくならない」と。
私は剣道少年で川越高校のキャプテンもつとめたが、「体罰」は一切無し。「体罰は愛情」は嘘。体罰は服従を強いるもの。選手の向上には不必要なもの。体罰では技術も向上せず、信頼関係は生まれない。上下関係の、押しつけの指導法。服従を強いている指導法が今までもあるとしたらそれは錯覚。「どこをどうしたらその若手が伸びるのか」。その苦心と工夫の中にこそ真の指導法が生まれるのは論をまたない。どの世界の指導者も同様である。

(論説委員・星光喩)

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