日蓮宗新聞

2013年1月1日号

第100臨時宗会 渡邊新宗務総長が誕生

第99特別宗会が昨年12月17日、翌18日に第100臨時宗会が、東京・大田区の日蓮宗宗務院で開かれた。昨年11月の任期満了にともない新たに就任した宗会議員45人が出席した。
「宗会」とは、全国から選ばれた僧侶が立法その他重要な宗務に関する決議を行う日蓮宗の最高決定機関で、「宗会議員」はその選ばれた代表者。
17日の正副宗会議長選挙では、議長に川久保昌耕師(山口県周防大島町妙法寺住職)、副議長に遠藤是秀師(静岡県富士宮市大泉寺住職)が選任。また宗会事務局長に並河顕周師(東京都西之院住職)が選任された。
続く18日には宗務総長選挙が行われ、新たな宗務総長に渡邊照敏師(千葉県市川市法蓮寺住職)の就任が45票満票で決まった。
任期満了で退任した前宗務総長の小松浄慎師は挨拶で、“祖山の繁栄なくして宗門の繁栄はありえない”を主眼として宗務にあたった就任期間を振り返り、宗務内局はじめ宗会議員に謝意を表し、また、宗門運動第一期の締めくくりとなる大事な期間に就任する新総長に期待と激励の言葉を送った。

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新春のご挨拶

妙とは蘇生の義なり

内野日総 日蓮宗管長(総本山身延山久遠寺法主)

平成25年の新春を迎え、本紙読者各聖各位に、年頭のご挨拶を申し上げます。また、平素は、宗門並びに祖山に対し、種々、ご丹誠をいただき、衷心より厚く御礼申し上げる次第であります。
一昨年に起こった東日本大震災は未曾有の災禍を招き、本年は三回忌を迎えますが、いまだに、その影響は続いており、被災者の皆さまの苦しみ悲しむそのお姿、荒廃する被災地域、胸が締め付けられる思いで一杯です。その苦難が、一刻も早くまた、僅かでも、取り除くことができ得ますようお祈り申し上げます。
さて、昨今の世界情勢は、経済・外交など、世界が揺れています。政治は右往左往するばかりで、社会は混乱を生じ、人々は、物価・医療・福祉・教育を始めとする社会生活全般に対して、極度な不安を感じており、報道もまた、この不安を一層煽動しているかのようであります。また、収まることのない自然災害など、安心できる状況ではありません。
日蓮大聖人が、文永3(1266)年正月6日、御年45歳にて安房国(千葉県)清澄寺においてご撰述になった『法華題目鈔』の中で、
「妙とは蘇生の義なり。蘇生と申すはよみがえる義なり」
と、お示しです。
妙法蓮華経の妙の字は、一切をよみがえらせる功徳があります。この妙法蓮華経は、運命の黒雲を吹き払う風となり、暗い道では灯となり、越えがたい宿命の川では船となり、逞しい生命の活力となるものです。
また、本年の干支は「癸巳」であります。この年は、…時機をはかって新たな出発を迎える…年であるといいます。
年が改まるという清新の好季に、私たちひとりひとりが、自ら生まれ変わった気持ちとなって、一筋の真心で南無妙法蓮華経と唱えましょう。これが、私たちの新しい力となることでしょう。運命を明るく開くこととなりましょう。
そして、自分ばかりか、世界中の人々が、笑顔で安楽に暮らせる社会が来るように、法華の信奉者として、この社会づくりを目指して努力精進していきましょう。
このことこそ、今、宗門で提唱しています「立正安国・お題目結縁運動…敬いの心で安穏な社会づくり、人づくり…」であります。この運動は、日蓮大聖人が身命を賭してお示しになった「立正安国」のご精神によるものであることはいうまでもありません。
ところで、本年は、小松原法難750年、佐渡阿闍梨日向上人第700遠忌、大覚大僧正妙実上人第650遠忌、などのご正当年に相当しておりますので、 日蓮大聖人や、弘通に挺身された先師のご薫陶に想いをいたし、一筋の真心に徹し、南無妙法蓮華経と唱えていきたいものです。
日蓮大聖人が、霊山浄土を感得された身延山より、本年が、皆さま方にとりまして、平安で光輝ある一年となりますようお祈り申し上げます。
結びに、本年もまた、宗門や祖山に対し、本紙読者各聖各位の絶大なるご支援・ご協力をお願い申し上げ、意を尽くし得ませんが、ご挨拶といたします。

 

但行礼拝の精神が肝要

渡邊照敏 日蓮宗宗務総長

平成25年癸巳新春を迎え、貴家の弥栄とご家族皆様のご多幸を祈念申し上げます。本年も、全日蓮宗徒の皆様と、異体同心の祖訓を体して、開かれた明るい宗門、風通しの良い宗門とするべく努めていく所存であります。
さて、世界中を震撼させた「東日本大震災」から早2年になろうとしております。ここに改めて犠牲となられた方々のご冥福をお祈り申し上げる次第であります。
そしてこの大震災に付随して発生した、東京電力福島第一原子力発電所の事故による放射性物質の飛散や汚染は、収束の糸口を見いだすところか、様々に問題を発生させ、私たちの生活に深刻な影響をもたらし続けております。宗門といたしましても、一刻も早く安心して生活ができるようになることを心から念願しております。
また現今の世情を顧みますと、戦争やテロリズム、更には様々な自然災害などによって多くの尊い命が奪われております。
そのような中で、私たちは、今一度「いのち」の尊さ、大切さを見つめ直し、今生かされていることに感謝することこそが最も重要であると強く感じる次第であります。
現在宗門では、宗祖御降誕800年を目途とする宗門運動「立正安国・お題目結縁運動」を、「いのちに合掌」というスローガンのもとで展開しており、本年4月からは第二期育成活動の3年目に入ります。すべての人々が安穏に暮らせる社会の実現に向け、全国の寺院・教会・結社を始め、教師・檀信徒の皆様方と手を携え、邁進していきたく存じております。
育成活動では、「社会活動の推進」・「次世代の育成」・「災害復興支援活動」を活動項目として立てておりますが、常不敬菩薩の但行礼拝の精神に則ることが肝要と心得ます。まずは、敬いの心で合掌すること、一人ひとりが合掌する心構えが大きな力となるでしょう。これによって、日本はもとより世界の恒久平和へとつながっていくことを確信しております。
宗祖日蓮大聖人は、法華経弘通のご生涯の中で幾多の法難に遭われました。大難四ヶ度、小難数知れずと言われておりますが、度重なる法難に遭われる中で、大聖人は法華経の行者としての自覚を深められたのであります。そして数ある法難の中でも、本年は、小松原法難750年の御正当の年にあたっております。
文永元年、大聖人は、「日蓮悲母をいのりて候しかば、現身に病をいやすのみならず、四箇年の寿命をのべたり」(『可延定業御書』)と示されているように、御母君の病を見舞われた後、地頭 東条景信の襲撃に遭い、聖人御自ら眉間に三寸ほどの傷を負ったと伝えられています。
本年11月11日には、本山 鏡忍寺におきまして、日蓮宗管長 内野日総猊下を御導師にお迎えして、日蓮聖人小松原法難750年宗門法要が厳修されます。
この法要により私たちは、日蓮大聖人の御苦難を偲ぶと同時に、法難に殉じた御弟子 鏡忍坊日暁上人、並びに大檀越 工藤吉隆公に報恩の誠を捧げ、更には、大聖人の誓願を改めて確認し、地涌の菩薩の自覚のもと、未だ法華経に縁無き人々に結縁していくことこそが最も重要でありましょう。
日蓮宗徒一人ひとりが「いのち」に合掌し、お題目結縁により仏縁を広め、安穏な社会の実現のため、共に歩みを進めていただけることを願い、年頭の挨拶といたします。

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ことぶき法話

平成25年(2013)の新春、どのように迎えられたでしょうか。
昭和でいうと今年は88年米寿の年、まさに「昭和は遠くなりにけり」であります。
かく云う私も今年70の齢を迎えますが、よくぞ自分を産み育ててくれたものだと、今更のように亡き両親に感謝をしております。
人は、勝手に生まれてきたのではない、仏さまの慈悲によって両親の肉体を通し、この世に生を与えていただくものだと思います。与えられた命なのです。
日蓮聖人が、身延山から千葉県中山の信徒、當木常忍へ宛てたお手紙[ 『忘持経事』の一節に
我が頭は父母の頭
我が足は父母の足
我が十指は父母の十指
我が口は父母の口なり
譬えば種子と菓子と身
と影との如し
とありますように、深い深い縁によって結ばれ、切っても切れない絆があるのです。
だからこそ、私たちは与えられた命に感謝し、その命を繋いでいかなくてはなりません。どのように生きていけば良いのでしょうか。
「成仏」という言葉があります。これは亡くなってから仏になるということではないのです。「成仏」とは仏に成ると書きますが、お釈迦さまは私たち人間に、生きているうちに仏に成りなさいと説かれているのです。
これがなかなか難しいことであり、云うは易く行うは難しでありますが、常日頃から優しい心を持ち、いつも笑顔を絶やさずに、相手を敬い、人の心の痛みを自分の心の痛みとして捉え、嬉しいときはともに喜び、悲しいときはともに悲しみ、少しでも、欲望(貪)や怒り(瞋)そして愚痴(痴)の心を抑え、相手の心の癒しとなれるように接して、仏さまのように生きていくことなのです。このような心を世界の全ての人々が持てたとするならば、この世から争いというものは無くなるでしょうし、人が人の命を奪うことも無くなる、本当の立正安国の世界に成ることでしょう。
と同時に、私たちは大自然の中に生かされています。大自然の恩恵がなければ私たちは生きられないのです。私たちに生・老・病・死の世界があるように、大自然の中にも、生きとし生けるもの全てに、生・老・病・死があるのです。人間のそれとは違うかもしれませんが、大自然の人間に与える影響は大きいものです。何億年以上も前に誕生した地球に、人間が生きていくための要素があり、何も言わずにじっと私たちの生きざまを見続けてきているのです。
自然を大切にすれば優しく、又、理不尽に自然破壊をすれば、時には厳しく牙を向けてくるときもあります。大自然の恐怖に人間は立ち向かうことはできないのです。ただ人間には知恵があります。仏さまに育てられた知恵を、大自然に感謝をしながら働かせて生きていかなければなりません。
鎌倉時代の日蓮聖人は、大自然の天変地夭に対しても、また人間界の他国侵逼に対しても、ただ一心に人々の安穏を願うがために、仏さまからいただいた知恵、日本一の知者として「南無妙法蓮華経」と唱え、仏さまのご加護を請うたのです。
さて、毎年のことですが、いや毎日、新しい朝を迎えるたびに、今日も生かさせていただいていると思います。昨日の続きの今日ではない、新しい今日なのだと思うようにしています。
「諸行無常」という言葉があります。全ての有様はいつも同じではない、一刻々々変化をしている、ということであります。そしてその一刻々々の変化が現実の有様「諸法実相」なのです。だからこそ、日々が大切なのです。
私たちには必ず、死という来世に生まれ変わるときが来ますが、その時に、良い人だったね、惜しい人を亡くしてしまったねと、惜しまれて旅立っていけるよう、「南無妙法蓮華経」のお題目に、仏さまにその身を委ね、日々の生活を大切に生きていきたいものであります。
私たちの生きているこの世界は、苦悩の多い娑婆世界でありますが、それは仏さまが私たち人間に与えてくださった試練なのでありますから、その試練を乗り越えて生きる努力をし、お互いに敬いの心で、安穏な社会づくり、人づくりをしようではありませんか。
合掌

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新年のご挨拶。

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