オピニオン
2013年1月10日
雨の朝参り
その日の朝は、未明からドシャブリであった。団参での本山の朝勤で、遅れて参拝にきた60歳過ぎと思われる女性の姿が目に入る。私の目の前の座布団の後ろに膝を落とすと、おもむろにバッグの中からビニールの風呂敷を取り出して座布団に敷き、きちっと正座をしてその上に座った。
その方は、当然傘を差し、長靴も履いてきたことだろう。更にはコートも着てきたと思われる。しかし、今日のこの強い雨ではそれでも膝から下が濡れるだろうと思って、自宅を出るときにビニールの風呂敷をバッグに入れてきたのだ。座布団を濡らさないために。干す手間を掛けさせないために。物を大事にする心、人そして物への感謝の心が伝わってくる。
「人への思いやりの心、心を配るとはこういうことだ」「お題目を唱えると、このような気持ちになれるぞ」と教えてくれた「雨の朝参り」に感謝した。
北海道南部布教師会長 山本 光明