書評
2012年11月30日
法華経のこころ 日蓮聖人のこころ
巨星堕つ、昨年突然の訃報が入った。勝呂信静先生は法華経・日蓮聖人・唯識についての重厚な数々の著述を発表し、行学二道の大切さを説いてきた。一般に向けた仏教解説も多く、一周忌追悼記念として、過去に連載していた「やさしい仏教入門」(『ほとけの子』)、「法華経のこころ」(『柴又』)、「日蓮聖人のこころ」(『こみなと』)等各誌への執筆原稿をまとめた著作集が刊行された。
勝呂先生といえば『正法』にも長年連載され、その後さだるま新書にまとめられた『法華経講義上・下』の筆者として知る方も多い。法華三部経の要点をコンパクトに解説した名著で、学びを深めて改めて頁をめくり、端的にまとめられた解説の深遠さに感激した人も多いことだろう。
本著も法華経二十八品の各品ごとの解説を中心として、日蓮聖人の教えの根幹を紹介しているが、より親しく勝呂先生のお心遣いを感じることができる。
(A五判 一六七頁 定価一五七五円 お求めは、日蓮宗新聞社 ℡〇三―三七五五―五二七一へ)
【図説】日蓮聖人と法華の至宝 第二巻「真蹟遺文」
図説『日蓮聖人と法華の至宝』の第二巻「真蹟遺文」が発刊された。
同書は中尾堯立正大学名誉教授・渡辺宝陽同大学名誉教授・坂輪宣敬同大学名誉教授・川添昭二九州大学名誉教授の4人が監修を行う、昨年に発行された第一巻「曼荼羅本尊」に続く二冊目の日蓮宗の文化財を写真と解説や論文によって紹介する図説だ。
まずページを開くと目に飛び込んでくるのが、カラー写真で掲載されている同書のタイトルともなっているご真蹟遺文。宗祖日蓮聖人の息づかいが宿るような美しいご遺文から、今私の手許に日蓮聖人からお手紙がいただいたような感動を覚えるのである。
ご遺文のほかには天台大師などの先師たちの書の日蓮聖人写本も掲載。現代の私たちに受け継がれる、法華経の真髄を追い求められた日蓮聖人の姿を偲べば、報恩感謝を捧げられずにはいられない。
『立正安国論』、『観心本尊抄』、『撰時抄』、『千日尼御返事』など約三十にも及ぶご遺文(全文掲載と一部掲載)と約十の写本を掲載。
全七巻で発行される予定。A4版、各巻約二百頁、各巻2万円(税込)、同朋舎メディアプラン発行。