2012年10月10日号
何のための僧侶・お寺なのか 社会活動講習会
『地域社会とお寺の活性化コンペティション』からのアイディアを活用し、一般社会のニーズとお寺の現状との相違点を再確認するための「平成二十四年度社会活動講習会」が9月3日、東京・大田区の日蓮宗宗務院で開催され、僧侶寺庭婦人約50人が参加した。
講師に、寺社旅研究家の堀内克彦氏を招き「お寺を盛り上げる7つのアクション」というテーマで講演が行われた。
宿坊研究会の運営者として、これまでに3,000以上の寺社を訪れている堀内氏は「お寺は敷居も高く、行く目的がない」「お坊さんは怖い」など、一般の人が持つイメージを挙げ、それらを払拭させるために“今すべき七つのこと”を提示した。自身が足を運び、実際に見て、触れたものを例にあげ、これからのお寺像・僧侶像を語った。「お坊さんは、良くも悪くも注目される存在。それを上手く利用して欲しい」と語る堀内氏に、参加者の多くが深く頷いていた。
その後、「もっと社会に役立つ僧侶」をテーマに全員参加型のディスカッションが行われた。コーディネーターは高野誠鮮師(石川県妙法寺住職)。パネリストには堀内氏と、池田和嘉子氏(東京都玉川寺寺庭婦人)、小林将大氏(エアロノーツ株式会社社長)が加わった。高野師の質問に、参加者もイエス・ノーのカードを持って答え、会場全体で議論が飛び交った。
高野師の「僧侶に対して思うことは?」という質問に小林氏は、「こんなのんきでいいのかと思う」「世のサラリーマンは、生き残りをかけて働いている」と述べ、一般社会とお寺の意識の差を指摘。堀内氏も「組織の中のお坊さんではなく、それらを逸脱した存在であって欲しい」と社会の声を代弁した。
一般社会から期待される僧侶像を学ぶ好機となった本講習会。参加者からは「どこかに、僧侶としての奢りがあるのではないか。社会の一員であるということを再認識せねば」「何のための僧侶、お寺なのかを改めて考える機会となった」などの感想も寄せられ、これからを考える、有意義なものとなった。