日蓮宗新聞
2012年6月20日号
引き継がれる信仰 とうか(稲荷)さん大祭
無病息災願い大勢の人が参詣
【広島】広島三大祭りの一つ、とうかさん大祭が広島市中区圓隆寺(中谷本耀住職)で6月1日から3日まで開催され、県内外から計50万人の人出で賑わった。
とうかさんとは、同寺の総鎮守「稲荷(とうか)大明神」のことで、元和5年(1619)、開山の慈善院日音上人によって勧請された。同寺は安芸国広島藩初代藩主・浅野長晟公の命により同年に建立され、大祭も建立時から始められており今年で394回目という歴史を持つ。また同大祭は夏を告げる「ゆかたの着始め祭り」として知れ渡っている。
大祭中は御開帳法要やお焚きあげ法要などが行われた。
また、平成30年に400回という節目の大祭を迎えるにあたり、今年から祭りの魅力を伝える「うちわ姫」を公募。応募者の中から浴衣姿でうちわが似合う女性3人が選考され、大祭前から各メディアで、祭りを宣伝した。初日には大祭祭司を務める中谷住職から任命証などが授与され、大祭中も精力的に参拝者を迎え、大祭をアピールした。
毎年6月の第一金曜日から3日間行われる「とうかさん大祭」。中谷住職は「来年は6月7日から9日まで大祭が行われます。一人でも多くの方が稲荷大明神とのご縁を深くして無病息災となっていただくために、この大きな祭りを守っていきたい」と語った。
2012年6月10日号
立正大学仏教学部卒業生 竹内洋岳さん 14座完全制覇
日本人初!
立正大学仏教学部卒業生で登山家の竹内洋岳氏(41)が、日本人として初めて、世界の8,000メートル峰全14座の完全制覇という偉業を成し遂げ、注目を浴びている。
竹内氏は平成7年にマカルー1峰の頂上に立ち、翌8年にはエベレストとK2の連続登頂に成功。その後、少人数の国際隊を組み、酸素やシェルパを使用しない“速攻登山”で、複数の8,000メートル峰の頂上に立った。
同19年、10座目となるパキスタンのガッシャブルム2峰で雪崩に巻き込まれ、腰椎破裂骨折の重傷を負い、生命の危機に陥ったが、各国登山隊のレスキューで奇跡的に生還。登山への復帰は絶望的とも言われたが、手術とリハビリにより、わずか1年後には事故のあったガッシャブルム2峰へ再び挑み、登頂に成功した。
そして5月26日、14座目となるダウラギリ1峰登頂に成功。14座制覇は日本登山界の悲願でもあり、今回の壮挙が、日本の登山史に新たな1ページを刻んだ。
竹内氏の卒業論文指導にあたった渡邉宝陽元立正大学学長は「“将来は子どもたちへの登山教育を行いたい”との希望をもっていると聞きました。これまで強い意志で困難に立ち向かい、登山に挑んできたその姿勢を子どもたちに伝えるべく、今後ともがんばってほしい」と話している。
檀信徒青年会代表者会議 社会活動への参加が宗門運動につながる
平成24年度第14回全国檀信徒青年会管区代表者会議が5月19、20日に東京都大田区の日蓮宗宗務院で開催され、全国から青年会の代表者ら53人が参加。僧侶とともに行う宗門運動の在り方などについての意見や情報の交換が行われた。
開会式後、中井本秀伝道部長が平成24年度の布教方針“合掌”、大西秀樹伝道推進委員会委員長が「三離れと合掌礼」について説明。あらゆるものを礼拝する“合掌”を実践することで人を敬うという仏教的道徳意識の復活を図り、またその心でひろく社会に関わっていくことが「安穏な社会づくり人づくり」に重要なこととした。
続いて大西師をコーディネーターに“合掌礼の普及”と“てらこや運動の推進”をテーマにパネルディスカッションが行われた。参加者からは「合掌を広めるにはまず親が率先して行うこと」、「檀信徒にはさまざまな職種の人がおり、培った知恵を互いに学べる場所としてお寺を利用すればいいのでは」などの声が挙がった。
翌日は参拝した同区大本山池上本門寺で酒井日慈貫首と同寺総代の池上幸保氏、大西委員長による鼎談が開かれた。酒井貫首は「お釈迦さまに帰依しますという“南無”の心が大切。合掌し、お題目を唱えることで心身すこやかになりましょう」と語った。
その後宗務院に移動し、7つのグループに分かれて“地域に開かれたお寺づくり”などのテーマで討議が行われた。「お寺の行事だけにとどまらず、広く社会への貢献活動に参加することが宗門運動が求めるものなのでは」などの意見が交わされた。
参加者の一人は「この会議は活動するためのヒントの宝庫。また方向性もわかる。まだ参加していない青年会があるなら参加してぜひ活動を教えて欲しい」と語った。