日蓮宗新聞
2012年5月20日号
東南アジアで活動30年・BAC仏教救援センター
功績称え、ラオス政府が伊藤理事長を叙勲
「子どもたちの未来のために」をスローガンに30年にわたり国際協力活動を続けているNGO・BAC仏教救援センターの伊藤佳通理事長(静岡市感應寺内)が、ラオス政府から「勲二等労働勲章」の叙勲を受け4月20日、ラオスの首都・ビエンチャンの教育省で授章式が行われた。
BACは昭和57年に超宗派の有志僧侶により発足、東南アジアを活動拠点として孤児院支援や経口補水塩普及活動、移動検診活動や奨学金支給活動など多岐にわたる国際協力を進めてきた。これらの功績により、伊藤理事長は平成5年にタイ図書館協会から表彰を受け、翌6年にはタイ国王陛下から勲三等白象章を受章している。
ここ20年はラオスでの小中学校校舎建設にも力を入れ、既に120校と寄宿舎16棟を建設。今回の叙勲はこれらの活動がラオス政府により高く評価されたもので、授章式で教育省のリートゥーブォワパオ副大臣が更なる協力を要請すると、伊藤理事長は「BACを代表して甚深の感謝を表します。過去の活動に対してではなく、これからを期待して頂いてのことと受け止め、日本経済は低迷していますが、生涯、貧しい家庭の子どもたちのための教育支援を続けていきたい」と流暢な英語で応えた。
発足当初、玉川覺祥師(神奈川県安国論寺住職)、丸山邦雄師(同泉福寺住職)、西効良光師(天台宗横浜市圓満寺住職)、摩尼和夫師(真言宗横浜市歓成院住職)ら若き僧侶が共に悩みながら手探りで活動を進めてきたBAC。30年の経験から伊藤理事長は「若い僧侶のみなさんには、それぞれの立場でそれぞれの能力を生かし、社会に開かれた活動という意味で、あとに続いて頂きたい」と期待を寄せた。
「松葉谷」で遺跡発見
宗祖の鎌倉ご在世時代について新見解の可能性
神奈川県鎌倉市の安国論寺(玉川覺祥住職)境内から、鎌倉時代初期の井戸の跡と、鎌倉時代初期から室町時代にかけての「切岸」による大規模な土木工事の跡、さらに14世紀中頃の古瀬戸の壺などが発見され、埋蔵文化財の調査が進められている。
この遺跡は、同寺「観音堂」建立のための発掘調査の際に発見されたもので、玉川住職は「日蓮聖人の鎌倉ご在世時代のことが少しでも分かれば、大変ありがたいです」と調査結果に期待を寄せている。
安国論寺のある鎌倉市大町付近一帯はもと「松葉谷」と称され、日蓮聖人が立教開宗後、20年あまりにわたりご草庵を結ばれ、『立正安国論』を述作されるなど、布教の拠点となった場所と伝えられてきた。
坂詰秀一立正大学名誉教授は今回の発見について「従来日蓮宗で伝承として語り継がれてきた“松葉谷”に、13世紀前半に居宅があったことが証明された。今後の調査では、史実と伝承の関連性を明らかにしていくことが大切」と話している。
2012年5月10日号
第5回Tシャツデザインコンペティション
優秀賞に大阪・赤司大輔さん
修養道場などで子どもたちが着るTシャツのデザインを募集する「第5回Tシャツデザインコンペティション」(日蓮宗宗務院伝道部主催)の優秀賞に大阪府の赤司大輔さん(33)の作品が選ばれ、4月7日に東京都大田区の日蓮宗宗務院で授賞式が行われた。
今回は人と人とを結ぶ「絆」をテーマとし、200点以上の応募作品が寄せられた。
赤司さんの作品は赤いハートをつないだ手で表現し、中に親子の笑顔を描いたもの。赤司さんは「日常生活における人とのつながりを振り返り絆とは何かと考えると、繋がる手、心、笑顔が思い浮かんだ。今回のコンペで改めて人とのつながりについて考えるきっかけになったことに感謝したい」と語っている。
また佳作には福島県の平井志保さん(19)、東京都の郡司朋幸さん(28)の作品が選ばれた。