2012年4月20日号
あでやかに吉野太夫花供養
60回目・記念の供養塔など開眼
寛永の名妓とうたわれた法華経信仰者・二代目吉野太夫(1606~43)へ供養を捧げる「吉野太夫花供養」が4月8日、京都市常照寺(奥田正叡住職)で開かれた。また今年で60回を迎えたことを記念した吉野太夫有縁供養塔と裏千家十五代家元鵬雲斎大宗匠寄進の「遺芳」石碑が開眼され、古都の風物詩に“花”を添えた。
同寺までを行列する島原太夫と禿らの道中では、高下駄で“内八文字”という独特の足運びで練り歩く太夫が優美な姿を見せ、法要では太夫による献茶、正派若柳流・若柳彦寿氏の奉納舞が行われた。また花供養を長年支えた黒田宗名吉野会会長らへ感謝状が贈られた。
境内では吉野太夫好みの“吉野窓”を配した遺芳庵などで茶席が設けられ、野点席では太夫のお点前も披露された。太夫のお点前に加え、同寺にゆかりのある本阿弥光悦自作の茶杓などの名品が拝見に出され、参詣客は眼福を得ていた。
今年は桜の開花前の開催となったが約1300人が訪れ、茶席に並ぶ一人は「満開の桜もきれいですが、いつ咲くかと思って見るのも風情があり楽しい」と語り、ふくらみかけた桜のつぼみを見つめていた。